特別陳列
特別陳列
おん祭と春日信仰の美術
―特集 社家史料と若宮―
おん祭は、奈良の春日若宮社の祭礼です。その歴史は古く平安時代に遡り、保延2年(1136)9月17日に始まったとされ、後に祭日は移り変わりながらも、祭礼は古儀の伝統を守り続け、今年で882年目を迎えます。一年のうち一日だけ(現在は12月17日)、御旅所に遷座する若宮神の前では様々な芸能が奉納され、そして祭礼の参列者が御旅所へ向かう風流行列は、冬の奈良の風物詩として定着しています。
この特別陳列は、このように伝統ある春日若宮おん祭の歴史と祭礼の様子を、絵画や文献史料、芸能資料等を通じて紹介する展覧会です。今も昔も盛儀を誇る南都の一大祭礼を展示室でじっくり鑑賞し、あわせて、人々が崇敬を寄せた春日社への信仰について理解を深める機会となることを企図しています。本年は、風流行列を描いた絵巻物を展示するほか、かつて春日社の神官を務めた旧社家に伝来した史料を交えつつ、若宮の歴史や春日社の造替について概観します。

(奈良・春日大社)
会 期
平成29年(2017)12月9日(土)~平成30年1月14日(日)
会 場
奈良国立博物館 東新館
休館日
毎週月曜日
※ ただし1月8日(祝)は開館し、翌9日(火)は休館
開館時間
午前9時30分~午後5時
※ 金・土曜日は午後8時まで(12月29日、30日を除く)
※ 12月17日(日)は午後7時まで
※ 入館は閉館の30分前まで
観覧料金
一般 | 大学生 | |
個人 | 520円 | 260円 |
団体 | 410円 | 210円 |
- 団体は責任者が引率する20名以上です。
- 校生以下および18歳未満の方、満70歳以上の方、障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料です。
- ども(中学生以下)と一緒に観覧される方[子どもといっしょ割引]・開館時間延長日の午後5時以降に観覧される方[レイト割引]は、団体料金が適用になります。
- この観覧料金で、同時開催の特集展示「新たに修理された文化財」(西新館、12月26日より開催)、名品展「珠玉の仏教美術」(西新館、12月9日より開催)・「珠玉の仏たち」(なら仏像館)・中国古代青銅器[坂本コレクション](青銅器館)もご覧いただけます。
- おん祭お渡り式の日〔12月17日(日)〕はどなたでも無料でご覧になれます。
- 12月22日(金)にご夫婦で入館される方は半額となります。[夫婦の日割引]
- 成人の日〔1月8日(月・祝)〕は、今年度に成人を迎えられた方の観覧料が無料となります。
- 平成30年1月2日(火)~5日(金)に春日大社で配布される小型チラシをご持参の方は、この4日間に限りおん祭展を無料で、なら仏像館を割引料金でご観覧いただけます。
出陳品
38件
展覧会図録

A4版 56ページ 1,500円
*地下ミュージアムショップにて販売しております 。
*図録の購入はこちらへ
公開講座
平成30年(2017)1月8日(月・祝)「神主たちの見た『おん祭』」
講師:千鳥祐兼 氏(春日大社権禰宜)
主催
奈良国立博物館、春日大社、仏教美術協会
チラシ
主な出陳品

[かすがわかみやごさいれいえまき]
奈良・春日大社
紙本著色 江戸時代(17世紀)
おん祭の様子を描いた三巻からなる長大な絵巻の二巻目。おん祭の華(はな)であるお渡り式(風流行列(ふりゅうぎょうれつ))の始終を丹念に描く。中盤以降は添景(てんけい)も描かれず、やや単調だが、謹直に故実(こじつ)を踏まえて描写されている。

[かすがわかみやさいれいず・たかがりずびょうぶ]
個人
紙本著色 江戸時代(17世紀)
右隻(うせき)におん祭のお渡り式(風流行列)の様子を表し、左隻は貴顕による大鷹狩(おおたかがり)を主題とする。おん祭は近世には11月27日に行われており、ともに霜月(しもつき)(11月)の風俗を描いたものと思われる。

[かすがわかみやさいれいず・たかがりずびょうぶ]
個人
紙本著色 江戸時代(17世紀)
右隻(うせき)におん祭のお渡り式(風流行列)の様子を表し、左隻は貴顕による大鷹狩(おおたかがり)を主題とする。おん祭は近世には11月27日に行われており、ともに霜月(しもつき)(11月)の風俗を描いたものと思われる。

[かすがごんげんげんき]
奈良・春日大社
紙本著色 江戸時代 文化4年(1807)
春日の神が表した不思議な利益(りやく)など数々の話を集成した絵巻。原本は延慶2年(1309)頃に宮廷絵師の高階隆兼(たかしなたかかね)が描いた。これは忠実な模本(もほん)で、松平定信(まつだいらさだのぶ)が父の事業を引き継いで完成させた。

[さるじょうまきえおおかわどう]
奈良・春日大社
木製 黒漆塗 蒔絵 江戸時代(17世紀)
大鼓(おおかわ)は能や神楽(かぐら)に用いられる打楽器。小鼓(こづつみ)より大きく、棹(さお)の中央に節(ふし)を設けているのが特徴で、左膝の上に構えて手で打って演奏される。黒漆地(くろうるしじ)に金蒔絵(まきえ)で、猿、錠(じょう)、鍵(かぎ)、団栗(どんぐり)、栗、木の葉などを表している。

[なかとみすけかたかすがおんしゃえんぎちゅうしんもん]
奈良・春日大社
紙本墨書 鎌倉時代 文永12年(1275)
中臣祐賢(なかとみのすけかた)が文永6年(1269)に作成した注進文(出陳番号15)を、六年後に書写して息子の中臣祐世に伝えたもの。長承4年(1135)に若宮の神殿が造立され、翌年から若宮祭(おん祭)が始まったことを伝える。

[えいきょうしちねんかすがしゃしなかとみすけときき]
個人
紙本墨書 安土桃山時代 慶長2年(1597)
永享7年(1435)の中臣祐時の社務日記(しゃむにっき)を江戸時代に写した本。旧社家(しゃけ)の辰市(たついち)家に伝来。永享7年のおん祭は当初予定の11月から延期されたが、祐時は過去に12月に催行された例を調べ、記録している。