特別陳列
特別陳列
お水取り
東大寺二月堂の「お水取り」は、正しくは「修二会(しゅにえ)」といい、二月堂で十一面観音に悔過(けか)をする行法です。悔過とは仏に過(あやま)ちを悔いること。奈良時代には、悔過し、その功徳(くどく)によって除災招福(じょさいしょうふく)を祈る法会(ほうえ)がさかんにおこなわれました。 二月堂の修二会は、十一面観音の前で観音の宝号(ほうごう)を唱え、五体投地(ごたいとうちなど)の荒行(あらぎょう)をおこなって罪障(ざいしょう)を懺悔(さんげ)し、あわせて天下安穏・五穀成熟・万民豊楽(ばんみんぶらく)を祈願する行法です。奈良では「お水取りがすむまで春は来ない」といいます。 この修二会は、東大寺の実忠(じっちゅう)が天平勝宝4年(752)に始め、それ以来、「不退(ふたい)の行法(ぎょうぼう)」として、一度も中断することなく続けられてきました。修二会の期間は旧暦の2月1日から14日まで。現在は新暦に改められており、3月1日から14日まで、練行衆が二月堂で1日6回の行法をおこないます。
奈良国立博物館では、毎年「お水取り」の期間にあわせて、特別陳列「お水取り」を開催してきました。13回目となる今年は、「お水取り」に関わる絵画・図像・文書、「お水取り」でのみ用いる珍しい法具などを展示し、あわせて二月堂の内陣(ないじん)と礼堂(らいどう)の様子を再現しています。また、江戸時代の二月堂再建に関わる史料も新たに展示されます。「お水取り」のさまざまな場面を撮影した写真パネル(木村昭彦氏撮影)も美しく、この展観によって、「お水取り」への理解がさらに深まれば幸いです。

二月堂本尊光背(身光)
(奈良・東大寺)

二月堂本尊光背(身光)部分
(奈良・東大寺)
会 期
平成21年(2009)2月7日(土)~3月15日(日)
休館日
2月9日(月)、2月9日(月)、2月23日(月)
※東大寺修二会期間中の月曜日(3月2日、9日)は開館します
会 場
奈良国立博物館 東新館
観覧料金
平常展観覧料金でご覧になれます。
個人 | 団体/子どもといっしょ割引 | |
一般 | 500円 | 400円 |
高校生・大学生 | 250円 | 200円 |
中学生以下 | 無料 | 無料 |
- 団体は責任者の引率する20名以上のグループ
- 子ども(中学生以下)と一緒に観覧される方は、 [子どもと いっしょ割引]の料金となります。
- 障害者手帳をお持ちの方(介護者同数を含む)、 および70歳以上の方は無料。
- この観覧券で平常展(本館・西新館)もご覧いただけます。
- 2月22日(金)にご夫婦で観覧される方は、一般料金の半額となります
主な出陳品
公開講座
終了いたしました
平成21年(2009)2月14日(土)「修二会 行と祈り」
講師:東大寺教学執事 橋村公英
※午後1時30分~3時(開場午後1時、講堂入口で入場券を配布します。)
当館講堂にて。聴講無料、定員200名。
図録

A4版 80ページ 1,000円
※図録の購入はこちら
主催
奈良国立博物館、東大寺、財団法人仏教美術協会
期間中のイベント
終了いたしました
平成21年(2009)2月14日(土) お水取り「講話」と「粥」の会
平成21年(2009)3月 2日(月) お水取り展鑑賞とお松明
平成21年(2009)3月13(金)・14日(土) 燈火のあるカフェテラスLive vol.3
主な出陳品

[にがつどうほんぞんこうはい[しんこう]]
1面
銅造鍍金、身光部 縦226.5cm、
頭光部 最大幅72.3cm
奈良時代(8世紀)
奈良・東大寺
二月堂本尊十一面観音立像(大観音〔おおがんのん〕)の光背。本品は身光部に当たり、 別に円形の頭光部も一部残存している。全面にタガネで線刻を施しており、 ほぼ中央に刻された四十二臂〔ひ〕の千手観音を中心とする、ほとけの世界が表されている。

[るいひしょう]
1巻
紙本白描、縦29.5cm 長2062.0cm
鎌倉時代 承久2年(1220)
奈良国立博物館
勧修寺〔かじゅうじ〕の寛信〔かんしん〕が編んだ図像集。本品は弟子の興然〔こうねん〕が師自筆の草稿本を写したものを、さらに明恵〔みょうえ〕の高弟・定真〔じょうしん〕が写したもの。そのなかで「東大寺印蔵像」と記されるのが、修二会〔しゅにえ〕後半の本尊となる絶対秘仏の小観音〔こがんのん〕である。

[にがつどうまんだら]
1幅
絹本著色、縦97.5cm、横39.1cm
室町時代(16世紀)
奈良・東大寺
修二会〔しゅにえ〕の行われる二月堂上に、雲に乗って現れた十一面観音を描く。周囲には遠敷社〔おにゅうしゃ〕、飯道社〔いいみちしゃ〕、興成社〔こうじょうしゃ〕、閼伽井屋〔あかいや〕、登廊〔のぼりろう〕、食堂〔じきどう〕などを桜花の中に配する。右下の閼伽井屋の傍らに描かれた黒白の鵜は、若狭井〔わかさい〕開創説話に因んだもの。

[どうさんこにょう/どうつかされい]
1口
銅製、現状長28.7cm
鎌倉時代 弘安7年(1285)
奈良・東大寺
卵形の鈴身〔れいしん〕に三鈷〔さんこ〕の把〔つか〕を付した法具で、堂司役〔どうつかさやく〕が使用する。鐃〔にょう〕は、密教法具の金剛鈴〔こんごうれい〕に先行する法具と考えられている。鈴身の肩に線刻された銘より、鎌倉時代に施入〔せにゅう〕されたことが知られる。