特別陳列
特別陳列
お水取り
東大寺二月堂の「お水取り」は、正しくは「修二会〔しゅにえ〕」といい、二月堂で十一面観音に悔過〔けか〕をする行法です。悔過とは仏に過ちを懺悔〔さんげ〕すること。奈良時代には、悔過し、その功徳によって除災招福を祈る法会〔ほうえ〕がさかんにおこなわれました。
二月堂の修二会は、十一面観音の前で観音の宝号を唱え、五体投地などの荒行をおこなって罪障を懺悔〔ざんげ〕し、あわせて天下安穏・五穀成熟・万民豊楽〔ばんみんぶらく〕を祈願する行法です。奈良では「お水取りがすむまで春は来ない」といいます。
この修二会は、東大寺の実忠〔じっちゅう〕が天平勝宝四年(752)に始め、それ以来、「不退の行法」として、一度も中断することなく続けられてきました。今年は1256回目です。
修二会に参籠する僧侶を練行衆〔れんぎょうしゅう〕といいます。練行衆は11名で、前年の12月16日にその名が発表されます。 修二会の期間は旧暦の2月1日から14日まで。現在は新暦に改められており、3月1日から14日まで、練行衆が二月堂で1日6回(日中・日没〔にちもつ〕・初夜・半夜・後夜・晨朝〔じんじょう〕)の行法をおこないます。
毎日の勤めは日によって異なりますが、正午に1日1度の食事をとり、午後1時頃に二月堂へ上堂して日中・日没の法要をおこない、参籠宿所へ下堂。午後7時に再び上堂して初夜・半夜・後夜・晨朝の法要をおこなうのが基本で、下堂は早くて午前0時半、遅ければ午前4時頃になります。
午後7時に上堂する際には、大きな松明〔たいまつ〕が練行衆の足元を照らします。松明はこのあと二月堂の欄干で振られ、舞い散る火の粉に参観者が歓声をあげます。
奈良国立博物館では、毎年「お水取り」の期間にあわせて、特別陳列「お水取り」を開催してきました。11回目となる今年は、「お水取り」に関わる絵画・図像・文書、「お水取り」でのみ用いる珍しい法具などを展示し、あわせて二月堂の内陣と礼堂の様子を再現しています。「お水取り」のさまざまな場面を撮影した写真パネル(木村昭彦氏撮影)も美しく、この展観によって、「お水取り」への理解がさらに深まれば幸いです。

(奈良・東大寺)
会 期
平成19年(2007)2月10日(土)~3月18日(日)
会 場
奈良国立博物館 東新館
休館日
2月13日(火)、2月19日(月)、2月26日(月)
開館時間
午前9時30分~午後5時(入館は閉館の30分前まで)
※3月12日(月)は午後7時まで開館
観覧料金
平常展観覧料金でご覧になれます。
個人 | 団体・子どもといっしょ割引 | |
一般 | 500 円 | 400 円 |
高校・大学生 | 250 円 | 200 円 |
中学生以下 | 無料 | 無料 |
- 団体とは責任者の引率する20名以上のグループ。
- 子ども(中学生以下)と一緒に観覧される方は、[子どもと いっしょ割引]の料金となります。
- 障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)、および70歳以上の方は無料。
出陳品
出陳件数:約70件
(うち国宝1件、重要文化財17件、参考出陳15件)
サンデートーク
終了いたしました
平成19年(2007)2月18日(日)「お水取り」
当館教育室長 西山 厚
平成19年(2007)3月18日(日)「大観音と小観音」
当館企画室長 稲本 泰生
※午後2時~3時。(開場午後1時30分)
当館講堂にて。入館者の聴講自由。
関連イベント
終了いたしました
平成19年(2007)2月17日(土) お水取り「講話」と「粥」の会
平成19年(2007)3月 9日(金) お水取り展鑑賞とお松明
平成19年(2007)3月10日(土)・11日(日)・12日(月)燈火のあるカフェテラスLIVE
主 催
奈良国立博物館、東大寺