特別陳列
特別陳列
国宝 子島曼荼羅
復原模写完成記念
奈良県高取町の子嶋寺(こじまでら)に伝来する国宝「紺綾地金銀泥両界曼荼羅(こんあやじきんぎんでいりょうかいまんだら)」は、平安時代に溯(さかのぼ)る両界曼荼羅の代表作の一つとして、「子島曼荼羅(こじままんだら)」の名で世に広く知られています。子嶋寺中興の祖とされる真興(しんごう/938~1008)が長保年間(999~1004)に一条天皇から賜ったものと伝えられ、製作から千年余りの時を隔てながらも、なお美しい輝きを現在に留めています。しかし長い年月の間に、一部に摩滅が進み、また銀泥の変色により図様が不鮮明になっている箇所も少なくありません。
こうした現状を踏まえ、文化庁による模写・模造事業の一環として製作が進められてきた、精巧な復原模写がこのたび完成いたしました。この復原模写は、縦350センチほどもある巨大な画面を作るために、原本と同様に綾地を織り上げることからはじめ、実際に金銀泥を用いて描かれたものです。模写製作のための調査の過程で、予想以上に多く銀泥が用いられていることが判明し、不鮮明だった細部の図像も明らかになるなど、得られた学術的知見も少なくありませんでした。こうした成果をもとに完成された復原模写は、原本の本来の姿をうかがわせる一級の資料として、高い価値を有しているといえるでしょう。
本展覧会では、平安仏画屈指の名品に数えられる国宝本とともに、新たに完成した復原模写を同時に展示することで、「子島曼荼羅」の魅力を堪能していただく機会にしたいと思います。またこの展示を通じて、模写の製作過程や意義を広く知っていただければ幸いです。

(奈良・子嶋寺)

(文化庁)
会 期
平成18年(2006)7月22日(土)~8月20日(日)
会 場
奈良国立博物館 東新館
休館日
月曜日(ただし8月14日は開館)
開館時間
午前9時30分~午後5時(入館は閉館の30分前まで)
※毎週金曜日および8月12日(土)~15日(火)は午後7時まで開館
観覧料金
平常展観覧料金でご覧になれます。
当日 | 団体 | |
一般 | 420 円 | 210 円 |
高校・大学生 | 130 円 | 70 円 |
中学生以下 | 無料 | 無料 |
※障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)、および70歳以上の方は無料。
主 催
奈良国立博物館、子嶋寺
共 催
文化庁
主な出陳品

[こんあやじきんぎんでいえりょうかいまんだら(たいぞうかい)]
縦 349.0cm、横 306.2cm
平安時代(11世紀)
奈良・子嶋寺
※展示期間:7月22日(土)~8月6日(日)

[こんあやじきんぎんでいえりょうかいまんだら(こんごうかい)]
縦 352.6cm、横 298.0cm
平安時代(11世紀)
奈良・子嶋寺
※展示期間:8月8日(火)~8月20日(日)