特別展・特別陳列

特別展

第64回 正倉院展

 本年の正倉院展は、数ある正倉院宝物の中から北倉23件、中倉23件、南倉14件、聖語蔵(しょうごぞう)4件の総計64件が出陳されます。例年通り正倉院宝物の全体像が展望される構成となっており、初出陳も9件ございます。
 本年の特色を摘記すると、まず特筆されるのは聖武天皇ゆかりの北倉の宝物が多数出陳される事です。分けても、紫檀(したん)の黒い地に螺鈿(らでん)の白さが映える螺鈿紫檀琵琶(らでんしたんのびわ)とこれに附属する紅牙撥鏤撥(こうげばちるのばち)は、華麗な天平時代の宮廷生活を想像させるのに充分な美しさと品格を兼ね備えています。また木画紫檀双六局(もくがしたんのすごろくきょく)をはじめ双六の駒や賽子(さいころ)等がまとめて出陳され、音楽とあわせて宮廷での遊びや楽しみの世界が展示室に甦ります。
 次いで注目されるのは平成6年以来18年ぶりの出陳となる瑠璃坏(るりのつき)です。コバルトブルーのうっとりするような輝きやワイングラスを思わせる器形は、シルクロードの果てにある遠い異国を想い起こさせます。碧瑠璃小尺(へきるりのしょうしゃく)・黄瑠璃小尺(きるりのしょうしゃく)のようなガラスを使ったアクセサリーやガラスの原料となった丹(たん)、同じ素材を釉薬(ゆうやく)に用いる磁瓶(じへい)などとともに古代ガラスの世界に浸っていただければ幸いです。
 この他、銀平脱八稜形鏡箱(ぎんへいだつはちりょうがたのかがみばこ)や密陀彩絵箱(みつださいえのはこ)、紫檀小架(したんのしょうか)など華麗な装飾が施された調度品、紫地亀甲仏殿文錦(むらさきじきっこうぶつでんもんのにしき)や赤地鴛鴦唐草文錦大幡脚端飾(あかじおしどりからくさもんにしきのだいばんのきゃくたんかざり)などの華やかな染織品、珍しいところでは古代の書見台(しょけんだい)である紫檀金銀絵書几(したんきんぎんえのしょき)といった宝庫を代表する宝物が出陳されます。
 さらには、先日福岡県太宰府市の国分松本(こくぶまつもと)遺跡で戸籍に関する最古と思われる木簡が出土し話題を集めましたが、伝世されてきた最古の戸籍の一つである大宝2年(702)御野国山方郡三井田里戸籍(みののくにやまがたぐんみいだりこせき)が出陳される事、最近の正倉院事務所の調査研究により新たな事実が明らかとなった神護景雲2年(768)称徳天皇勅願経(しょうとくてんのうちょくがんきょう)、宝亀5~7年(774~776)頃の書写である今更一部一切経(いまこういちぶいっさいきょう)と推定される経巻が出陳される事も話題を呼ぶ事でしょう。

中倉 瑠璃坏

会 期

平成24年(2012)10月27日(土)~11月12日(月) 全17日

会 場

奈良国立博物館 東新館・西新館

休館日

会期中無休

開館時間

午前9時~午後6時
※金曜日、土曜日、日曜日、祝日(10月27日・28日、11月2日・3日・4日・9日・10日・11日)は午後7時まで
※入館は閉館の30分前まで

観覧料金

 当日前売・団体オータムレイト
一般1,000円900円700円
大学生・高校生700円600円500円
中学生・小学生400円300円200円
  • 団体は責任者が引率する20名以上です。
  • オータムレイトチケットは、閉館の1時間30分前より販売する当日券です(販売は当館当日券売場のみ)。
  • オータムレイトチケット購入者には、記念品として昭和26年開催の「正倉院展」ポスター図案のしおりを進呈します。
  • 障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料です。
  • この観覧料金にて、なら仏像館および青銅器館の展示もご覧になれます。
  • 奈良国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を400円でお求めいただけます。観覧券売場にてキャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証をご提示ください。
  • 前売券の販売は、9月27日(木)から10月26日(金)までです。
    前売り券は、当館観覧券売場、近鉄各駅営業所、近畿日本ツーリスト、JR東海ツアーズ、JTB、日本旅行、チケットぴあ・サークルK[Pコード:765 – 366]、ローソンチケット[Lコード:57011]、セブンイレブン[セブンコード:019 – 218]、CNプレイガイド、イ―プラス(http://eplus.jp)などで販売します。

出陳品

64件(北倉23件、中倉23件、南倉14件、聖語蔵4件)
うち初出陳9件

展覧会図録

 A4版 144ページ 1,200円
*西新館1階会場内および、地下ミュージアムショップにて販売しております 。
*図録の購入はこちら

会場案内図

会場案内図・出陳宝物一覧・展示のみどころ等をまとめました。下記よりダウンロードしていただけます。
※展示会場内でも配布しております。

ボランティア解説

終了いたしました

当館ボランティアによる正倉院展の見どころ解説。
会期中毎日

  • 第1回目 午前10時~
  • 第2回目 午前11時~
  • 第3回目 午前12時~
  • 第4回目 午後1時30分~
  • 第5回目 午後2時30分~

※正倉院展会期中毎日5回、30分程度。当館講堂にて。 入館者の聴講無料。
※公開講座のある日(10/27・11/3・11/10・11/11)の午後は中止となります。

公開講座

終了いたしました

平成24年(2012)10月27日(土) 「正倉院のペルシア風錦について」
尾形 充彦氏 (宮内庁正倉院事務所整理室長)

平成24年(2012)11月3日(土・祝) 「古代ガラスから正倉院まで」
土屋 良雄氏 (日本ガラス工芸学会理事)

平成24年(2012)11月10日(土)「聖語蔵経巻と正倉院文書― 「神護景雲二年御願経」の実体をめぐって」
飯田 剛彦氏 (宮内庁正倉院事務所調査室長)

平成24年(2012)11月11日(日)「八世紀以外の宝物について」
内藤 栄 (当館学芸部長補佐)

正倉院学術シンポジウム2012

終了いたしました

「正倉院宝物の近代~壬申検査から140年」
日時:平成24年(2012)11月4日(日)午後1時~午後5時30分
会場:奈良県新公会堂  ※事前申込制

音声ガイド

第64回正倉院展の会場では、3種類(一般版/子ども版/英語版)の音声ガイドをご利用いただけます。
(各バージョン共に1台税込500円)

留学生の日

終了いたしました

11月1日(木)は「留学生の日」と銘打ち、海外からの留学生の方を無料でご招待いたします。入館の際、学生証等をご提示ください。

会期中のイベント

終了いたしました

「法華寺小池御流によるいけばなの展示」
 日程:会期中毎日
 場所:奈良国立博物館 西新館1階ロビー
 ※別途「第64回正倉院展」の入館券が必要です。

「野点のお茶会」
 日程:会期中毎日
 場所:奈良国立博物館 西新館 南側ピロティー
 受付:西新館1Fロビー
 料金:500円
 ※別途「第64回正倉院展」の入館券が必要です。
 ※担当一覧はこちらへ

託児

「第64回正倉院展」開催期間中、無料の託児室を開設しますのでご利用ください。 ※事前予約制

よくある質問

正倉院展について「よくある質問」をまとめましたので、ご参考にしてください。

主催

奈良国立博物館

協賛

NTT 西日本、キヤノン、近畿日本鉄道、JR 東海、JR 西日本、ダイキン工業、大和ハウス工業、白鶴酒造、丸一鋼管

特別協力

読売新聞社

協力

NHK奈良放送局、奈良テレビ放送、日本香堂、仏教美術協会、ミネルヴァ書房

関連リンク

読売新聞「天平の煌めき 第64回正倉院展」
宮内庁正倉院事務所

主な出陳品

南倉 銀平脱八稜形鏡箱
[ぎんへいだつはちりょうがたのかがみばこ]

(鏡の箱) 1合
長径36.5cm 高10.5cm

北倉 螺鈿紫檀琵琶
[らでんしたんのびわ]

(弦楽器) 1面
全長99.6cm 胴幅41.5cm

北倉 紅牙撥鏤撥
[こうげばちるのばち]

(染め象牙の琵琶の撥) 1枚
長20.0cm 最大幅5.7cm 厚0.1cm~0.4cm

北倉 木画紫檀双六局
[もくがしたんのすごろくきょく]

(双六盤) 1具
縦54.3cm 横31.0cm 高16.7cm

北倉 斉衡三年雑財物実録
[さいこうさんねんざつざいもつじつろく]

(宝物点検の記録) 1巻
本紙縦28.6cm 全長403.2cm 軸長30.2cm

中倉 瑠璃坏
[るりのつき]

(ガラスのさかづき) 1口
口径8.6cm 高11.2cm 重262.5g

南倉 赤地鴛鴦唐草文錦大幡脚端飾
[あかじおしどりからくさもんにしきのだいばんのきゃくたんかざり]

(幡の脚のかざり) 1枚
縦39.7cm 横46.3cm

中倉 銅薫炉
[どうのくんろ]

(球形の香炉) 1合
径24.2cm

中倉 密陀彩絵箱
[みつださいえのはこ]

(献物箱[けんもつばこ]) 1合
縦30.0cm 横45.0cm 高21.4cm

南倉 紫檀小架
[したんのしょうか]

(架け具) 1基
高46.3cm 台長29.3cm

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