特別展・特別陳列
特別展
西国三十三所
―観音霊場の祈りと美―
西国三十三所(さいこくさんじゅうさんしょ)巡礼は、四国八十八ヶ所巡礼(四国遍路)と並んで最もよく知られた巡礼の道です。西国三十三所巡礼は、一説に奈良の長谷寺(はせでら)を開いた徳道上人(とくどうしょうにん)によってはじめられ、その後、花山法皇(かざんほうおう)の中興を経て広がっていったものと伝えられています。そもそも霊場が三十三所に定められたのは、『法華経(ほけきょう)』普門品(観音経)(ふもんぼん/かんのんぎょう)に説かれる、観音菩薩が三十三の姿をあらわして衆生(しゅじょう)を救済するという三十三身(さんじゅうさんじん)の教えに基づくと考えられます。それぞれの霊場は宗派も一様ではありませんが、いずれも観音菩薩を本尊として祀(まつ)っており、三十三所の巡礼は、宗派を超えた観音の道ということができます。
西国三十三所巡礼は、当初主に僧侶(そうりょ)の修行の一つとして行われたと考えられますが、霊場への信仰が浸透するにつれ民衆にも広がり、室町時代には巡路が確立し、庶民による参詣(さんけい)が行われるようになりました。江戸時代には旅や社寺詣での流行とも相俟(あいま)って娯楽的な要素が加わり、多くの参詣者で賑わうようになります。そして、その人気は近年でも衰えず、四国遍路とともに現在も多くの人々に親しまれています。
ところで、本年は、西国三十三所巡礼の中興といわれる花山法皇の崩御(ほうぎょ)より一千年の記念の年に当たります。本展覧会では、花山法皇の遺徳を偲(しの)ぶとともに、歴史ある各霊場に伝えられた宝物の数々を開陳し、三十三所の歴史と信仰の遺産、信仰に基づく美の世界を展示し、観音霊場に捧げられた人々の祈りの軌跡を描き出します。また広く観音信仰に関わる遺宝を会し、造形を通じて理解を深めていただきたいと思います。 この機会に、先人の貴重な遺産をたどりながら西国三十三所巡礼の歴史と信仰を知っていただき、併せて観音菩薩に託した先人の思いを感じていただければ幸いです。

(京都・清水寺)
会 期
平成20年(2008)8月1日(金)~9月28日(日)
※本展は名古屋市博物館に巡回します。なお、一部出陳品が異なります。
会 場
奈良国立博物館 東・西新館
休館日
毎週月曜日
※ただし8月11日と9月15日は開館し、9月16日(火)は休館
開館時間
午前9時30分~午後5時
※毎週金曜日および8月9日(土)・10日(日)・13日(水)・14日(木)は午後7時まで
観覧料金
個人 | 前売/団体 | オータムレイト | |
一般 | 1,200 円 | 1,000 円 | 900 円 |
高校・大学生 | 800 円 | 600 円 | 500 円 |
中学生以下 | 500 円 | 300 円 | 200 円 |
- 団体は責任者が引率する20名以上
- 障害者手帳をお持ちの方(介護者同数を含む)は無料
- 8月22日(金)にご夫婦で観覧される方は、一般料金の半額となります。(他の割引サービスとは併用できません)
- この観覧料金にて平常展・特別陳列もご覧になれます。
出陳品
195件(国宝11件、重要文化財61件)
うち、奈良会場:190件(国宝10件、重要文化財60件)
名古屋会場:168件(国宝8件、重要文化財49件)
公開講座
終了いたしました
平成20年(2008)8月2日(土)「西国三十三所の歴史」
東海大学名誉教授 速水 侑
平成20年(2008)8月30日(土)「西国三十三所の観音霊験像とその広がり」
当館上席研究員 鈴木喜博
平成20年(2008)9月13日(土)「”胎内くぐり”としての西国巡礼」
29番札所・松尾寺名誉住職 松尾心空
平成20年(2008)9月27日(土)「観音の浄土・補陀落山―その信仰と造形」
当館研究員 清水 健
- 午後1時30分~3時。
- 開場午後1時(講堂入口で整理券を配布します)
- 当館講堂にて。聴講無料、定員200名。
主 催
奈良国立博物館、NHK奈良放送局、NHKプラネット近畿、 NHKサービスセンター、読売新聞大阪本社
協 賛
大阪芸術大学、日本写真印刷、東レ、丸一鋼管、三光丸本店、阪神高速サービス、愛知海運、森田木工
特別協力
西国三十三所札所会
協 力
JR西日本、日本香堂、仏教美術協会、特定非営利法人地域創造政策研究センター、日本通運
後 援
文化庁、奈良県、奈良市、奈良県観光連盟、奈良市観光協会