特別展・特別陳列
特別展
金沢文庫の名宝
―鎌倉武家文化の精華―
鎌倉時代、執権(しっけん)・連署(れんしょ)として幕政の実権をにぎった北条一族のなかに、二代執権義時(よしとき)の子・実泰(さねやす)を初祖とする金沢北条氏(かねさわほうじょうし)があります。実泰の子・実時(さねとき)は五代にわたる執権の補佐役として引付衆(ひきつけしゅう)や評定衆(ひょうじょうしゅう)をつとめ、蒙古襲来にゆれ動く幕府を支えました。実時は、政策の参考となる経史(けいし)・法制・農政・軍事などの学問に心を寄せ、たくさんの書物を集めました。
実時は蔵書を鎌倉に置きましたが、火災の経験をふまえ、鎌倉に隣接する六浦庄金沢(むつらのしょうかねさわ)(横浜市金沢区)の別邸の脇に文庫を創設し、菩提寺の称名寺(しょうみょうじ)に管理をゆだねました。顕時(あきとき)・貞顕(さだあき)・貞将(さだゆき)の三代の子孫に引き継がれた金沢文庫の蔵書はさらに充実してゆきます。また、称名寺は東国の仏教の一拠点となり、宋版一切経をはじめ厖大(ぼうだい)な仏典が集められました。
元弘三年(1333)、鎌倉幕府は滅び、金沢北条氏も運命を共にしました。保護者を失った金沢文庫の蔵書は称名寺によって管理されましたが、足利氏・上杉氏・豊臣氏・徳川氏など、代々の支配者によって持ち出され、しだいに散逸していきました。
明治時代以降、有名無実となった金沢文庫を復興しようという気運が識者のあいだで高まり、昭和五年(1930)に神奈川県によって金沢文庫が再興されました。称名寺から寄託された大量の寺宝や古書は、整理・調査研究をへて展示公開されるようになりました。
本展は、中世文化の粋ともいうべき金沢文庫・称名寺伝来の文化財のうち、選りすぐりの名品を一堂に会します。金沢文庫の作品がこれだけまとめて外部で公開されるのは初めてのことです。この千載一遇の機会に、ぜひ会場に足をお運びいただきたいと思います。

(神奈川・金沢文庫)

(神奈川・金沢文庫)
会 期
平成17年(2005)12月3日(土)~平成18年(2006)1月15日(日)
会 場
奈良国立博物館 西新館
休館日
12月5日(月)、12日(月)、19日(月)、12月26日(月)~1月1日(日)、1月10日(火)
開館時間
9:30~17:00
[12月17日(土)、1月8日(日)は19:00まで開館]
※入館は閉館の30分前まで
観覧料金
当日 | 前売・団体 | |
一般 | 1000 円 | 900 円 |
高校・大学生 | 700 円 | 600 円 |
中学生以下 | 無料 | 無料 |
- 団体は責任者が引率する20名以上。
- 障害者手帳をお持ちの方(介護者1人を含む)は無料。
- 前売券は、近鉄ステーションサービス、近鉄の主要駅、電子チケットぴあ・ファミリーマート・サンクス・セブンイレブン(Pコード:686-301)、ローソンチケット(Lコード:52853)、JTB、ジェイアール東海ツアーズにて取り扱います。
- この観覧料金にて、特別展「東大寺公慶上人」及び本館平常展もご覧になれます。
出陳品
出品件数:94件(うち国宝5件、重要文化財32件、参考出陳2件)
公開講座
終了いたしました
平成17年(2005)12月3日(土)「金沢文庫と称名寺」
神奈川県立金沢文庫長 高橋 秀榮氏
平成17年(2005)12月10日(土)「鎌倉文化のなかの金沢文庫」
神奈川県立金沢文庫主任学芸員 西岡 芳文氏
※各回とも開講は午後1時30分。(午後1時より講堂入口で整理券を配布します)
当館講堂にて。聴講無料。定員200名。
列品解説
終了いたしました
平成17年(2005)12月14日(水) 「金沢文庫の絵画」
奈良国立博物館企画室研究員 北澤 菜月
平成18年(2006)1月11日(水)「称名寺伝来の仏教彫刻」
奈良国立博物館美術室長 岩田 茂樹
※各回とも開講は午後2時より。当館講堂にて。聴講無料。
関連イベント
終了いたしました
神奈川県立金沢文庫開館75周年記念企画展 「最後の神奈川奉行―依田伊勢守盛克―」
会期:平成17年(2005)12月15日(木)~平成18年(2006)2月12日(日)
主 催
奈良国立博物館、神奈川県立金沢文庫、朝日新聞社
協 力
称名寺