特別展・特別陳列
特別展
法隆寺
―日本仏教美術の黎明―
日本に仏教が公けに伝えられたのは西暦538年とする説が有力です。記録によれば、このとき、朝鮮半島に分立していた三国のひとつ百済(くだら)の聖明王(せいめいおう)が、日本の朝廷に仏像・経論等を送り、仏教が優れた法であることを伝えました。
この後日本では仏教を受け入れるか否かで争いが起きましたが、やがて仏教を奉ずる一派が勝利をおさめ、奈良・飛鳥の地で日本最初の伽藍、飛鳥寺(法興寺)が建立され、はじめて本格的な仏教文化の花が開いたのです。
これとほぼ同時期、推古天皇の摂政として国政にあたっていた聖徳太子は、仏教を深く信奉し、これを研究して自ら経疏を著すなど、黎明期の日本仏教をリードしました。太子が、当時住んでいた斑鳩宮に隣接する場所に建てたのが斑鳩寺、すなわち法隆寺です。
法隆寺は天智9年(670)に焼失したとされますが、まもなく再建され、世界最古の木造建築である金堂・五重塔をはじめ、堂内に安置された数多くの尊像や、様々な荘厳具・仏具、また堂宇に葺かれた瓦など、最初期仏教美術の宝庫として、世界に輝く存在です。
本展は、これら法隆寺に伝来した文化財を中心に、美術作品を通じて黎明期、すなわち飛鳥時代の日本仏教美術の種々相を紹介・展示するとともに、そこにあらわれた人々の信仰や美意識をさぐり、日本独自の表現の歴史を追究しようという試みです。
飛鳥寺・法隆寺ともにその本尊像の作者は鞍作鳥(止利仏師)とされます。飛鳥時代を通じて、仏教彫刻の主流様式となったのがこの止利派の様式でした。止利様式の源流は朝鮮半島・百済、ひいては中国・六朝時代の仏像に求めることができます。
本展では、これら止利派の源流をさぐるため、中国・韓国の作品も展示する予定です。と同時に、止利派の仏像のその後の展開にも目を向けます。
また工芸の分野では、法隆寺の堂内を飾った荘厳具や、明治初期に法隆寺から皇室へ献納された供養具や染織など、書跡の分野では聖徳太子と法隆寺の実像にせまるための史料等、考古では、火災の前・後の法隆寺で葺かれた瓦と、これに影響を与えた百済瓦などを展示する予定です。

法隆寺献納宝物155号
(東京国立博物館)
会 期
平成16年(2004)4月24日(土)~6月13日(日)
休館日
毎週月曜日
ただし5月3日(月)は開館
5月6日(木)は休館
開館時間
9時30分~17時 ※毎週金曜日は19:00まで開館
(入館は閉館30分前まで)
観覧料金
当日 | 前売/団体 | |
一般 | 1000 円 | 900 円 |
高校・大学生 | 700 円 | 600 円 |
中学生以下 | 400 円 | 300 円 |
- ( )内は20名以上の団体料金、および前売料金。
- 5月5日(水)こどもの日は小・中学生は無料です。
- 前売り券は下記にて販売いたします。
当館(4月23日まで)及び近鉄ステーションサービス、近鉄・JR西日本・JR東海の主要駅、電子チケットぴあ・ファミリーマート・サンクス・セブンイレブン(Pコード:685-227)、ローソンチケット(Lコード:51347)。
出陳品
公開講座
終了いたしました
平成16年(2004)5月 1日(土)「国宝金銅灌頂幡について」
ふくやま美術館館長 中野 政樹氏
平成16年(2004)5月 8日(土)「法隆寺建築は飛鳥か白鳳か」
元奈良国立文化財研究所所長 鈴木 嘉吉氏
平成16年(2004)5月15日(土)「聖徳太子と飛鳥仏教の美術」
文化庁主任文化財調査官 松浦 正昭氏
平成16年(2004)5月 22日(土)「飛鳥時代の絵画」
当館学芸課長 梶谷 亮治
平成16年(2004)5月29日(土)「太子信仰と法隆寺の文化財」
奈良大学教授 東野 治之氏
平成16年(2004)6月12日(土)「止利派の彫刻」
当館館長 鷲塚 泰光
- いずれも13時30分から。開場は13時から。
- 当館講堂にて。
- 定員200名。
- 聴講無料。
作品解説
終了いたしました
平成16年(2004)4月28日(水)「考古遺物が語る法隆寺造営と伽藍の変遷」
当館研究員 岩戸 晶子
平成16年(2004)5月12日(水)「飛鳥時代の彫刻について」
当館美術室長 岩田 茂樹
平成16年(2004)6月 9日(水)「法隆寺金堂西の間天蓋について」
当館工芸考古室長 内藤 栄
- いずれも14時から。
- 当館講堂にて。
- 入館者の聴講自由。
主 催
奈良国立博物館・朝日新聞社・NHK奈良放送局