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法隆寺金堂壁画写真ガラス原板

 実用的な写真技術は、十九世紀前半にヨーロッパで発明されてからほどなくしてわが国にもたらされ、やがて日本人の写真師が誕生します。明治四年(1871)には蜷川式胤の発案により横山松三郎が旧江戸城を撮影し、翌年のいわゆる壬申検査(日本ではじめての本格的な文化財調査)でも数多くの宝物や建物が写真におさめられました。以来、文化財は主要な被写体であり続けます。写真により記録に残すということは、経年や修理などによる変化を避けられない文化財にとってつねに重要な課題だったのです。また写真は、いまでは常識となっている文化財という概念を社会に定着させ得る契機ともなりました。
 昭和十年(1935)には文部省の国宝保存事業の一環として、京都の美術印刷会社便利堂が法隆寺金堂壁画十二面を撮影し、巨大壁画の精緻な記録作成に成功しました。昭和二十四年(1949)の火災により壁画は惜しくも損傷を免れませんでしたが、このときの写真は往時のかがやきを伝える存在として貴重です。平成二十七年(2015)にはこれらの写真の歴史的・学術的価値があらためて評価され、国の重要文化財に指定されました。
 この展覧会では、法隆寺金堂壁画写真ガラス原板を中心に、近代以降に多くの人びとが文化財の写真撮影に精力を傾けた軌跡を振り返ります。

重要文化財
法隆寺金堂壁画写真ガラス原板
第六号壁 第二列の二
(奈良・法隆寺)

会 期 令和元年12月7日(土)~1月13日(月・祝)
会 場 奈良国立博物館 西新館
休館日 毎週月曜日、1月1日
※ただし、12月30日、1月13日は開館
開館時間 午前9時30分~午後5時
※毎週金・土曜日は午後8時まで(12月28日は除く)
※12月17日(春日若宮おん祭お渡り式)は午後7時まで
※入館は閉館の30分前まで
観覧料金
  一般 大学生
個人 520円 260円
団体 410円 210円

※ 団体は20名以上です。
※高校生以下および18歳未満の方、満70歳以上の方、障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料です。
※この観覧料金で、特別陳列「おん祭と春日信仰の美術」(東新館)、名品展「珠玉の仏教美術」(西新館)・「珠玉の仏たち」(なら仏像館)・「中国古代青銅器」(青銅器館)をあわせてご覧になれます。
※また、12月24日から1月13日まで開催の特集展示「新たに修理された文化財」もご覧いただけます。

出陳品 41件
◆出陳品一覧は こちらへ[PDF 443KB]
公開講座

1月11日(土)

  「文化財写真の軌跡-150年のあゆみ-」
   宮崎 幹子(当館学芸部資料室長)     詳しくは こちらへ
主催 奈良国立博物館、法隆寺、便利堂、朝日新聞社
協力 文化財活用センター、東京大学史料編纂所、仏教美術協会
チラシ

チラシ(PDF 1.61MB)

主な出陳品

※画像をクリックすると、より大きな画像が表示されます。

第六号壁 阿弥陀如来像(前期展示)

法隆寺金堂壁画写真ガラス原板 第六号壁 阿弥陀如来像(前期展示)
[ほうりゅうじこんどうへきがしゃしんがらすげんばん]
奈良 法隆寺
昭和10年(1935)撮影

 

第六号壁 第二列の二(後期展示)

法隆寺金堂壁画写真ガラス原板 第六号壁 第二列の二(後期展示)
[ほうりゅうじこんどうへきがしゃしんがらすげんばん]
奈良 法隆寺
昭和10年(1935)撮影

法隆寺金堂壁画全十二面を原寸大で分割撮影した写真。全紙判という大型のガラス乾板をもちい、大壁四面、小壁八面をそれぞれ四十二枚、二十四枚に分割している。仏菩薩の面相など重要箇所は別撮りをしている。写真は極めて高い解像度を保ち、如来の螺髪、菩薩の地髪や垂髪の毛筋、しなやかにうねる眉の濃淡、流麗な衣褶線やモノクロームの濃淡としてうかがわれる豊かな賦彩など、壁画が備える卓越した技術と高度な美的創造性をみることができる。昭和二十四年(1949)の金堂火災により壁画が損傷をうけたため、皮肉にも往時のかがやきを伝える貴重な歴史資料となった。

法隆寺金堂壁画写真原板

法隆寺金堂壁画写真原板 第一号壁 赤外線写真(前期展示)
[ほうりゅうじこんどうへきがしゃしんげんばん]
 ※画像はポジ〈陽画〉に反転させた写真
京都 便利堂
昭和10年(1935)撮影 

原寸大分割写真撮影を受注した便利堂の発案で、①全図写真(十二枚)、②全図四色分解写真(四十八枚)、③赤外線写真(二十三枚)が撮影された。②はカラー図版を印刷するために四色のフィルターを介して撮影され、③は積年の燻煙や退色、変色などにより不鮮明になっている図様を記録するために部分的に撮影された。焼損により金堂壁画が当初の彩色を失って以降、四色分解写真は往時の賦彩を最も正確に伝えるものと理解され、多くの図版に使用されてきた。法隆寺所蔵分とならんで焼損前の壁画のあり様を伝える類例のない資料であり、また記憶されるべき記念碑的な写真撮影事業の成果として価値が高い。