
恵心僧都源信(えしんそうずげんしん)(942~1017)は奈良で生まれ、比叡山で修行を積んだ平安時代の僧侶です。源信は死後阿弥陀如来の来迎を受けて、極楽浄土へ生まれることを願う、浄土信仰を広めた僧として知られます。
『往生要集』(おうじょうようしゅう)などにより源信が示した具体的な死後の世界のイメージは、後世へも多大な影響を及ぼしました。
本展では地獄絵を含む六道絵(ろくどうえ)や阿弥陀来迎図(あみだらいごうず)といった源信の影響下で生まれた名品が一堂に会します。死後の世界へのイマジネーションを体感していただくとともに、真摯に死と向き合った名僧の足跡をご紹介いたします。
国宝 六道絵のうち阿鼻地獄(部分)
(滋賀・聖衆来迎寺)
会 期 |
平成29年7月15日(土)~9月3日(日) |
会 場 |
奈良国立博物館 東新館・西新館 |
休館日 |
毎週月曜日、7月18日(火) ※ただし7月17日(月・祝)、8月14日(月)は開館 |
開館時間 |
午前9時30分~午後6時
※毎週金・土曜日と8月6日(日)~15日(火)は午後7時まで
※入館は閉館の30分前まで
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観覧料金
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一般 |
高校・大学生 |
小・中学生 |
当日 |
1,500円 |
900円 |
500円 |
前売・団体 |
1,300円 |
700円 |
300円 |
※団体は20名以上です。
※前売券の販売は、6月1日(木)から7月14日(金)までです。
※障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料です。
※この料金で、名品展(なら仏像館・青銅器館)もご覧になれます。
※青銅器館は7月31日(月)から8月10日(木)まで休館いたします。
※7月29日(土)と30日(日)はこども無料日です。小・中学生無料、同伴の保護者は団体料金で観覧できます。
※観覧券は、当館観覧券売場のほか、近鉄の主要駅、近畿日本ツーリスト、JR東海ツアーズ、JTB、日本旅行、ローソンチケット(Lコード57068)、セブン―イレブン、チケットぴあ(Pコード768-302)、イープラスなどで販売いたします。
※奈良国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を400円でお求めいただけます。観覧券売場にてキャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証をご提示ください。
■■■お得な前売券■■■ 販売期間:5月22日(月)~7月14日(金)
※会期中に2名で1回、または1名で2回のご利用が可能です。
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源信展 × 「バベルの塔」展 セット券 |
前売 |
2,200円 (2枚) |
※源信展と、国立国際美術館で7月18日(火)から10月15日(日)まで開催される「ボイマンス美術館所蔵『バベルの塔』展」のチケットがセットになりました。2展の前売券をそれぞれ買うよりも400円お得です。
※「バベルの塔」展観覧料 : 1,500円 (前売1,300円)
※プレイガイドのみ(ローソンチケット(Lコード 57068)、セブン―イレブン、チケットぴあ(ペア券:Pコード768-302、セット券:Pコード768-303)、イープラスなど)で販売
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出陳品 |
出陳品 136件(うち国宝22件、重要文化財65件)
◆出陳品一覧は こちらへ[PDF, 531KB]
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展覧会図録 |
A4版 328ページ 2,300円
*西新館1階会場内および、地下ミュージアムショップにて販売いたします。
*図録の購入はこちらへ
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公開講座 |
◆ 8月5日(土)「浄土の造形―源信以後を中心に―」
武笠 朗 氏(実践女子大学教授)
◆ 8月19日(土)「『往生要集』の成立―天台浄土教と源信の信心―」
小原 仁 氏(聖心女子大学名誉教授)
◆ 9月2日(土)「源信と浄土信仰の美術」
北澤 菜月(当館学芸部主任研究員)
※詳しくはこちらへ
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音声ガイド |
音声ガイド(日本語 / 英語 / 中国語 / 韓国語)は、520円でご利用いただけます。(各言語共に1台税込520円)
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関連イベント |
親子講座「エンマさまと地獄めぐり」 → 終了いたしました
エンマ大王(鷹巣先生)がこわーい地獄絵の世界にご案内します。
◆日程:7月29日(土)
①11:00~11:45 ②13:00~13:45
◆会場:当館講堂
◆講師:鷹巣 純氏(愛知教育大学教授)
◆対象:小・中学生とその保護者
◆定員:各回40組80名(先着順)
◆参加費無料(参加には保護者の方の源信展観覧券(半券可)又は奈良博プレミアムカード等のご提示が必要です。)
※詳しくはこちらへ
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親子ワークショップ「つくってわかる!立体地獄絵」 → 終了いたしました
簡単なジオラマ「立体地獄絵」作りを通して、地獄のイメージなどについて学ぶ親子向けワークショップです。
◆日時:7月30日(日)
①10:00~12:00 ②13:30~15:30
◆会場:当館地下回廊
◆講師:奈良教育大学大学院生
◆対象:小学生とその保護者
◆定員:各回20名(先着順)
◆参加費無料(参加には保護者の方の源信展観覧券(半券可)又は奈良博プレミアムカード等のご提示が必要です。)
※詳しくはこちらへ
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主 催 |
奈良国立博物館、朝日新聞社、NHK奈良放送局 |
後 援 |
天台宗、比叡山延暦寺、文化庁、奈良テレビ放送 |
協 賛 |
あいおいニッセイ同和損保、きんでん、竹中工務店、ライブアートブックス |
協 力 |
凸版印刷、日本香堂、仏教美術協会 |
チラシ |
(PDF,3MB)
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◆主な出陳品
※画像をクリックすると、より大きな画像が表示されます。
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重要文化財 観音菩薩立像 [かんのんぼさつりゅうぞう] 奈良・高雄寺 木造 彩色 像高101.3 cm 平安時代(10~11世紀)
源信の母が、高雄寺の観音に祈願したところ、その霊験によって源信を授かったといい、本像がその観音像と伝えられる。当初は十一面観音像と見られ、クスらしき広葉樹の一材から彫出された一木造の像である。
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恵心僧都源信像 [えしんそうずげんしんぞう] ※前期展示(7/15~8/6) 滋賀・聖衆来迎寺 絹本著色 縦73.9 cm 横39.4 cm 南北朝時代(14世紀)
恵心僧都源信を描く、現存最古にして出色の肖像画。正面を見据えながら礼盤(らいばん)上に趺坐(ふざ)し、両手で数珠(じゅず)を繰(く)る姿で、顔には深い皺が刻まれている。諸伝記によれば、源信の肖像画は『往生要集(おうじょうようしゅう)』とともに宋に渡ったといい、本品はその図様をしのばせる遺例として伝わっている。
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 巻上
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往生要集 巻上・巻中 [おうじょうようしゅう] ※前期展示(7/15~8/6) 京都・浄福寺 紙本墨書 縦23.8 cm 横15.2 cm 鎌倉時代(13~14世紀)
日本の浄土信仰の画期をなした源信による念仏解説書。寛和元年(985)に完成した。地獄や極楽の様相を活写し、阿弥陀仏の極楽浄土を讃(たた)え、念仏の方法を細かに解説する。本書成立直後から念仏結社(ねんぶつけっしゃ)が発足し、すぐに写本が流布(るふ)していたことからも、その影響力の大きさが知られる。本品は鎌倉時代の写本で、漢字・仮名交じりの表記が珍しい。
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 巻頭
 巻末
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重要文化財 霊山院釈迦堂毎日作法 [りょうぜんいんしゃかどうまいにちさほう] ※前期展示(7/15~8/6) 滋賀・聖衆来迎寺 紙本墨書 縦27.0 cm 長718.0 cm 平安時代 寛弘4年(1007)
比叡山横川(ひえいざんよかわ)の霊山院釈迦堂において行う毎日の供養礼拝、結番者(けちばんしゃ)の作法などを、源信が定めたもの。早朝から始まる日々の作法が記される。これに続き、正月1日から12月晦日まで、これを勤める毎日の結番者の名前が列記される。
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国宝 地獄草紙 [じごくぞうし] ※後期展示(8/8~9/3) 当館 紙本著色 縦26.5 cm 長454.7 cm 平安~鎌倉時代(12世紀)
『起世経(きせきょう)』が説く7つの小地獄(屎糞所(しふんじょ)・函量所(かんりょうしょ)・鉄磑所(てつがいしょ)・鶏地獄(とりじごく)・黒雲沙(こくうんしゃ)・膿血所(のうけつしょ)・狐狼地獄(ころうじごく))を描く絵巻。犯した罪によって堕ちる地獄が異なり、それぞれの地獄で責め苦を受ける人々の様子が表される。後白河法皇(ごしらかわほうおう)が作らせたという六道絵(ろくどうえ)のひとつであった可能性が高い。
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 等活地獄
 黒縄地獄
 阿鼻地獄
 人道不浄相
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国宝 六道絵 [ろくどうえ] ※前期展示(7/15~8/6) 滋賀・聖衆来迎寺 絹本著色 各縦155.5 cm 横68.0 cm
鎌倉時代(13世紀)
命あるものが輪廻(りんね)する6つの世界(地獄道(じごくどう)、餓鬼道(がきどう)、畜生道(ちくしょうどう)、阿修羅道(あしゅらどう)、人道(じんどう)、天道(てんどう))の様子を全15幅で描く大作。六道の描写の多くは源信の『往生要集(おうじょうようしゅう)』に依拠する。描写は細部まで精緻(せいち)を極め、鎌倉時代の絵画を代表する名品に数えられる。15幅揃っての公開は11年ぶり。
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宝蔵菩薩
日照王菩薩
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重要文化財 二十五菩薩坐像 [にじゅうごぼさつざぞう] 京都・即成院 木造 彩色 像高83.9~87.6 cm 平安時代(11世紀) 前期展示:徳蔵菩薩(左5号像)、普賢菩薩(左12号像)、宝蔵菩薩(右6号像) 後期展示:日照王菩薩(右4号像)、衆宝王菩薩(右7号像)、薬上菩薩(右11号像)
藤原頼通の子で、歌人の橘俊綱(たちばなのとしつな)(1028~94)が、最晩年に造立した一具の像と考えられる。阿弥陀如来が25体の菩薩とともに来迎する様子を立体造形化したもので、本展にはそのうちの6軀(前期後期各3軀)が出陳される。当時一流の仏師によって造像されたもの。
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重要文化財 當麻寺縁起 下巻 [たいまでらえんぎ] ※前期展示(7/15~8/6) 奈良・當麻寺 紙本著色 縦35.0 cm 長2182.0 cm 室町時代(16世紀)
源信の故郷当麻(たいま)の地の古刹(こさつ)、當麻寺の縁起を3巻に描く絵巻。各巻奥書より、當麻寺の勧進僧(かんじんそう)・宗胤が発願(ほつがん)し、詞書(ことばがき)は後奈良(ごなら)天皇ら貴顕の寄合書(よりあいがき)、絵は絵所預(えどころあずかり)・土佐光茂(とさみつもち)筆とわかる。下巻最後には源信が創始したと伝わる迎講(むかえこう)の場面が登場するが、これのみ別筆で、その画風から南都絵所(なんとえどころ)絵師・琳賢(りんけん)によって描き加えられたものと推察される。
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国宝 阿弥陀聖衆来迎図 [あみだしょうじゅらいごうず] ※8/22~9/3展示 和歌山・有志八幡講 絹本著色 (中央幅)縦210.4 cm 横210.5 cm (左右幅)各縦211.0 cm 横106.0 cm 平安時代(12世紀)
幅4メートルを超える壮大な阿弥陀聖衆来迎図。もとは源信とも関わりのある比叡山横川(ひえいざんよかわ)の安楽谷(あんらくだに)に伝来していた。本図は比叡山で室町時代には源信筆とされ、勅封(ちょくふう)扱いの特別な来迎図であった。正面を向く阿弥陀が楽器を奏でる聖衆(しょうじゅ)とともに現れる様は迫力に富む。
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国宝 阿弥陀聖衆来迎図(早来迎) [あみだしょうじゅらいごうず はやらいごう] ※7/15~7/30展示 京都・知恩院 絹本著色 縦145.1 cm 横154.5 cm 鎌倉時代(13~14世紀)
阿弥陀聖衆(あみだしょうじゅ)が山麓を滑り降りるようにスピード感を持って来迎する様子から早来迎(はやらいごう)の名で親しまれる阿弥陀来迎図。右下の屋内には経巻を前に合掌し来迎を待つ僧の姿が見える。日本の豊かな自然景観に幻想的な来迎の場面が溶け合う、見事な画面構成の名品。
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