本年の正倉院展には、北倉(ほくそう)10件、中倉(ちゅうそう)29件、南倉(なんそう)22件、聖語蔵(しょうごぞう)3件の、合わせて64件の宝物が出陳されます。そのうち初出陳は9件です。例年通り正倉院宝物の概要がわかるような構成ですが、本年も宮内庁正倉院事務所による最新の調査成果を反映した内容に特色がみられます。また正倉院正倉の整備事業の完了を受け、宝庫や宝物の来歴を伝えるような宝物も出陳されます。
聖武天皇ゆかりの北倉からは、シルクロードの遺風を伝える名品として夙(つと)に有名な漆胡瓶(しっこへい)が、正倉院展では18年ぶりに出陳されます( ※ )。また鳥木石夾纈屏風(とりきいしきょうけちのびょうぶ)は、聖武天皇のお側(そば)近くにあった屏風で、花鳥を愛でた当時の宮廷生活が垣間見られる宝物です。
また、本年は聖武天皇一周忌斎会(さいえ)で懸吊された大幡(だいばん)(灌頂幡(かんじょうばん))に関連する宝物がまとまって出陳されるのも注目されます。大幡は総長13~15メートルに及ぶと考えられる巨大な幡で、多数の幡が法会(ほうえ)の場を華やかに飾ったと考えられます。今回は幡の本体、脚、脚先の飾り、芯に使われた裂(きれ)が出陳され、その全容が想像されます。
ところで、本年は多種多様な金工品が出陳されるのも注目されます。宝庫に伝わった奈良時代の銅銭、唐と日本の鏡、合金に用いられる金属のインゴットなどの鋳造(ちゅうぞう)に関係する品々、あるいは漆胡瓶と同じく平脱(へいだつ)技法が用いられた竽(う)、笙(しょう)、平脱鳳凰頭(へいだつのほうおうのかしら)などの装飾性豊かな器物類、そして目にも美しい様々な飾り金具など、金属と古代の日本人の関係にも思いを馳せていただければ幸いです。
このほか、素材の異なる3種の笏(しゃく)や、高度な技法で作られた象牙(ぞうげ)の櫛、近時の調査で染色材料が判明した愛らしい鳥形の飾りなど、天平の技と風俗にもご注目下さい。
※公開は、御即位20年記念特別展「皇室の名宝」(東京国立博物館 平成21年)以来、7年ぶり

漆胡瓶
(しっこへい)

大幡残欠
(だいばんざんけつ)
待ち時間はこちらからご覧いただけます。
(読売新聞社のホームページにて混雑状況をお知らせしています。)
会 期 | 平成28年10月22日(土)~11月7日(月) 全17日 | ||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
会 場 | 奈良国立博物館 東新館・西新館 | ||||||||||||||||||||
休館日 | 会期中無休 | ||||||||||||||||||||
開館時間 | 午前9時~午後6時
※金曜日、土曜日、日曜日、祝日(10月22日・23日・28~30日、11月3日~6日)は午後8時まで ※入館は閉館の30分前まで |
||||||||||||||||||||
観覧料金 |
※前売券の販売は、9月7日(水)から10月21日(金)までです。
|
||||||||||||||||||||
出陳品 | 64件(北倉10件、中倉29件、南倉22件、聖語蔵3件)、うち初出陳9件
![]() |
||||||||||||||||||||
展覧会図録 | A4版 136ページ 1,200円
*西新館1階会場内および、 地下ミュージアムショップにて 販売しております 。 *図録の購入はこちらへ ![]() |
||||||||||||||||||||
特別展示 | ■正倉院宝庫の平瓦
正倉院宝庫は、平成23年から26年にかけて、宮内庁により整備工事が行われました。その際に、屋根から降ろされた奈良時代の平瓦を、正倉院展の期間に合わせて展示いたします。 |
||||||||||||||||||||
会場案内図 | 会場案内図・出陳宝物一覧・展示のみどころ等をまとめました。下記よりダウンロードしていただけます。※展示会場内でも配布しております。
![]() |
||||||||||||||||||||
ボランティア解説 | 当館ボランティアによる「第68回 正倉院展」のみどころ解説を下記の予定で、期間中毎日、実施いたします。ご鑑賞の際に合わせて、ぜひご利用下さい。
期 間: 10月22日(土)~11月7日(月)の毎日
※ただし、10月22日(土)、10月29日(土)、11月5日(土)の各日の4回目と5回目は、講座等のため実施いたしません。
※各回、開始の20分前より開場します。毎年、ご好評につき各回満席になっております。聴講をご希望のお客様は、早めに講堂へお集まり下さい。 |
||||||||||||||||||||
公開講座 | ◆ 10月22日(土)「正倉院宝物の平脱・平文」→ 終了いたしました
木村 法光氏(元宮内庁正倉院事務所保存課長) ◆ 10月29日(土)「正倉院に納められた銭貨をめぐって」→ 終了いたしました 細川 晋太郎氏(宮内庁正倉院事務所保存課調査室研究員) ◆ 11月5日(土)「正倉院の荘厳具―大幡に寄せて―」 清水 健(当館学芸部工芸考古室長) ※詳しくはこちらへ |
||||||||||||||||||||
正倉院学術 シンポジウム2016 |
テーマ 「正倉院正倉」
日時:11月3日(木・祝) 午後1時 → 終了いたしました 会場:東大寺総合文化センター金鐘ホール ※事前申込制 ![]() |
||||||||||||||||||||
音声ガイド | 第68回正倉院展の会場では、3種類のプログラム(日本語一般ガイド/東大寺博士のみどころガイド/English program)の音声ガイドをご利用いただけます。(各バージョン共に1台税込520円) |
||||||||||||||||||||
留学生の日 | 11月1日(火)は「留学生の日」と銘打ち、海外からの留学生の方を無料でご招待いたします。入館の際、学生証等をご提示ください。→ 終了いたしました
![]() |
||||||||||||||||||||
会期中のイベント | 「法華寺御流によるいけばなの展示」
日程:会期中毎日 場所:奈良国立博物館 西新館1階ロビー ※別途「第68回正倉院展」の入館券が必要です |
||||||||||||||||||||
「野点のお茶会」
日程:会期中毎日 場所:奈良国立博物館 西新館 南側ピロティー 受付:西新館1Fロビー 料金:500円 時間:10時頃~17時(予定) ※別途「第68回正倉院展」の入館券が必要です ※担当一覧はこちらへ |
|||||||||||||||||||||
託児 | 「第68回正倉院展」開催期間中、無料の託児室を開設しますのでご利用ください。 ※事前予約制 ![]() |
||||||||||||||||||||
よくある質問 | 正倉院展について「よくある質問」をまとめましたので、ご参考にしてください。![]() |
||||||||||||||||||||
主催 | 奈良国立博物館 | ||||||||||||||||||||
協賛 | 岩谷産業、NTT西日本、キヤノン、京都美術工芸大学、近畿日本鉄道、JR東海、JR西日本、ダイキン工業、大和ハウス工業、白鶴酒造、丸一鋼管 | ||||||||||||||||||||
特別協力 | 読売新聞社 | ||||||||||||||||||||
協力 | NHK奈良放送局、奈良テレビ放送、日本香堂、仏教美術協会、ミネルヴァ書房、読売テレビ | ||||||||||||||||||||
関連リンク | ◆読売新聞「第68回正倉院展」 ◆宮内庁正倉院事務所 |
||||||||||||||||||||
チラシ | ※チラシでは金曜日・土曜日・日曜日・祝日の開館時間が午後7時までとなっておりますが、午後8時までに延長いたします。 |
◆主な出陳品
※単位は、寸法=センチメートル、重量=グラム
※画像をクリックすると、より大きな画像が表示されます。