平安時代初期の書写とみられる註維摩詰経巻第八の写本。『註維摩詰経』は、鳩摩羅什(くまらじゅう)訳『維摩詰所説経(ゆいまきつしょせつきょう)』の注釈書で、訳者自身とその門下の僧肇(そうじょう)、竺道生(じくどうしょう)、道融(どうゆう)等による解釈(注釈)をあわせ収載している。このうち最も多くの注釈が載る僧肇が本書の編者と伝えられ、巻頭には彼の序文も掲載されるが、実際には後人が諸注釈を編集したものとみられる。本品は淡墨界を界高二三・〇、界幅二・四センチメートルで引き、本文を墨書する。『維摩詰所説経』の経文を大字で一行あたり十~十二字、注釈部分を細字双行で一行あたり十六字前後に書写している。他の一般的な写経に比べて一行あたりの字数が少なく、字間をゆったり取る。一紙あたり二十二行。その端正な書は奈良時代の遺風を伝える。かつて高野山正智院(しょうちいん)に伝来した。
(野尻忠)
まぼろしの久能字経に出会う 平安古経展, 2015, p.135-136
重要美術品 ちゅうゆいまきつきょう かんだい8 註維摩詰経 巻第八
1巻
紙本 墨書 麻紙 墨界(巾2.4㎝) 巻子 (軸)八角木軸
縦27.6 長1594.3 29紙(本紙のみ 一紙巾53.8㎝ 一紙22行)
書跡
平安時代 9世紀

- H027620

- H027620
- 2015/01/07
- 巻首(H027621に続く)

- H027621
- 2015/01/07
- 巻中(H027620の続き)

- H027622
- 2015/01/07
- 巻中(巻末に続く)

- H027623
- 2015/01/07
- 巻末(H027622の続き)

- A021752
- 1990/01/08
- 巻首

- A021750
- 巻首

- A021751
- 巻末
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収蔵品番号 | 929-0 |
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部 門 | 書跡 |
区 分 | 書跡 |
部門番号 | 書57 |
伝 来 | 高野山正智院(和歌山)伝来、小倉武之助旧蔵 |
指定年月日 | 昭和16年9月24日 |
文 献 | まぼろしの久能寺経に出会う : 平安古経展. 奈良国立博物館, 2015, 172p.奈良国立博物館蔵品図版目録 書跡篇. 奈良国立博物館, 1990, 136p. |