◆ バックナンバー [号外] 平成20年5月2日
奈良国立博物館では、6月1日(日)まで特別展「天馬 シルクロードを翔ける夢の
馬」を開催しています。
今回は約160件にのぼる多彩な出陳品の中から、特に注目される作品・興味深い
作品を選んでご紹介します。
★☆★☆特別展「天馬 シルクロードを翔ける夢の馬」出陳作品紹介☆★☆★☆★☆
会期:平成20年4月5日(土)~平成20年6月1日(日)
《第1章 天馬誕生―翼をもった獣の坩堝・西アジア―》
◇有翼鷲頭精霊像レリーフ[ゆうよくしゅうとうせいれいぞう]
岡山市立オリエント美術館 ★展示期間:4/5~5/6
イラク ニムルド出土 新アッシリア(前9世紀)
有翼の精霊が精緻(せいち)な浅肉浮彫で刻まれ、翼は雨覆羽(あめおおいばね)
と風切羽(かざきりばね)が写実的に表現されています。古(いにしえ)の賢人アプ
カルが聖樹に受粉する姿とも言われています。新アッシリアの都に築かれた宮殿
の壁面装飾の一部。
◇獅子グリフィン形飾金具 東京・中近東文化センター附属博物館
伝イラン エスファハン出土 前6~5世紀頃
グリフィンは、獅子と鷲(わし)を合体させた西アジア起源の想像上の動物。本品に
は、獅子の頭部をもつ有翼の獅子グリフィン4頭が表されています。何らかの器具
を支える台座の飾りとみられています。
《第2章 ペガサスの飛翔―ギリシア・ローマ世界―》
◇赤像式クラテル〔キマイラと戦うベレロポン〕 イタリア アグロ・ファリスコ博物館
イタリア チヴィタ・カステッラーナ出土 前4世紀
中央にベレロポンとキマイラの戦いが描かれたクラテル(混酒器)。ベレロポンは、
大きな翼をもつ白いペガサスに乗り、背中から山羊の頭が生えたキマイラに向け
て、長槍を構えています。
◇メドゥーサ顔文屋根飾 京都ギリシアローマ美術館
イタリア ターラント出土 前6世紀頃
魔除けのため屋根に取り付けられた、陶製の飾板。見る者を石に変える怪女メドゥ
ーサの顔を型押ししています。ペガサスは、英雄ペルセウスがメドゥーサの首を刎
(は)ねたときに出た血から誕生したとされています。
◇ペガサス装飾付柱頭片 イタリア フォーリ・インペリアリ博物館
イタリア フォロ・ロマーノ マルス神殿出土 前1世紀
ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスが建てたマルス神殿の柱飾り。最高級の
カッテーラ産大理石を使用したローマ・コリント式の柱頭で、アカンサス葉から飛
び出すペガサスは帝国の繁栄を象徴しています。
◇黒像式ヒュドリア「カエレのヒュドリア」〔ケルベロスを連れたヘラクレス〕
イタリア ヴィッラ・ジュリア国立エトルリア博物館
イタリア チェルヴェテリ出土 前525年頃
「ブリシスの画家」に比定
水を運搬して注ぐための水甕(ヒュドリア)。表面はケルベロスを連れたヘラクレス
が描かれています。有翼馬は裏面の把手を中心に、2頭がそれぞれ翼を広げ、純
粋に装飾モティーフとして表されています。
《第3章 天馬東走―アジアの空へ―》
◇連珠騎士文錦[れんじゅきしもんにしき] 中国 新疆ウイグル自治区博物館
中国 トルファン アスターナ322号墓出土 7世紀
法隆寺の四騎獅子狩文錦(しきししかりもんきん)と酷似する錦の残片。亀甲(きっ
こう)を表した翼をもつ馬にまたがる騎士を連珠円文(れんじゅえんもん)中に表し
ていたと推測されます。騎士は相対する一対のみ表されていたと考えられ、構成
は四騎獅子狩文錦よりも単純化しています。
◇国宝 四騎獅子狩文錦[しきししかりもんきん]奈良・法隆寺
中国・唐時代(7世紀)
珠(たま)を連ねた円に、有翼馬に乗り獅子を射る武人(ぶじん)の意匠を4つずつ
表しており、当初は赤色の地であったと推定されています。武人はペルシア的な
表現ですが、馬の尻に漢字が見えるように、ペルシアと唐の文化の融合が見られ
ます。
《第4章 天馬を夢みて―東アジアの天馬―》
◇銅馬[どうば]中国・河北省博物館/河北省文物保護センター
河北省保定市防陵村2号漢墓出土
中国 後漢時代(1-3世紀)
後漢時代の墓から出土した高さ1メートル以上もある銅馬。首をひねって嘶(いなな)
く姿をした大型銅馬は非常に珍しく、全体に太くたくましいつくりは、当時の人々が
思い描いた馬の理想像のひとつとみられます。
◇石棺床飾板[せっかんしょうかざりいた] アメリカ 個人蔵
中国 北周~隋時代(6-7世紀)
地下の墓室内に設置された、ベッド状の台の部材。連珠文(れんじゅもん)に有翼
馬(ゆうよくば)を配した意匠が見られます。墓主は国際商人として活躍したソグド
人とみられ、彼らの信奉したゾロアスター教の祭祀の様子が表現されています。
◇国宝 海獣葡萄鏡[かいじゅうぶどうきょう] 千葉・香取神宮
中国 唐時代(7‐8世紀)
正倉院南倉(なんそう)伝来鏡と同じ型を使用した品で、中国・隋唐時代に多数製
作された海獣葡萄鏡の中でも、傑出した出来映えを示しています。獅子を主文とす
るほか多様な動物が表され、疾駆(しっく)する2頭の有翼馬(ゆうよくば)がみえます。
《第5章 仏教と天馬》
◇聖徳太子絵伝 第五巻[しょうとくたいしえでん]日本 個人蔵
鎌倉時代 元亨4年(1324) ★展示期間:5/8~6/1
聖徳太子の伝記絵巻。27歳の時に甲斐国(かいのくに)から献じられた黒駒(くろ
こま)に乗って日本国を廻覧(かいらん)した中で、富士山に登った場面では、詞書
(ことばがき)に記される通り、舎人(とねり)の調子丸(ちょうしまろ)を伴って、雲に
乗って飛行する形が描かれています。
◇スーリヤ像 東京・松岡美術館
石造 インド東部(パーラ時代、11~12世紀)
インドの太陽神スーリヤを中心に、絢爛(けんらん)たる神々の世界を浮彫(うきぼり)
しています。基壇部(きだんぶ)にみえる七頭の馬は、スーリヤが7頭立ての馬車
に乗って天空を駆けるという、聖典『リグ・ヴェーダ』の説に忠実な表現。
◇重文 馬頭観音立像[ばとうかんのんりゅうぞう] 石川 豊財院
平安時代(11-12世紀)
日本における馬頭観音像の作例は平安時代の中頃から増えはじめます。本像は一
具とみられている聖観音(しょうかんのん)・十一面観音とともに六観音として造立さ
れたと推測されます。三面六臂(さんめんろっぴ)の姿は経軌(きょうき)には説かれ
ていません。
《第6章 神の前に駆ける―競馬の文化史―》
◇重文 張良図沈金鞍[ちょうりょうずちんきんくら] 神奈川・馬の博物館
室町時代(16世紀)
漢の高祖・劉邦(りゅうほう)の臣下となる張良(りょうちょう)の故事を描いた鞍(くら)。
張良は若い頃、老人が落とした靴を川に入って拾い、その縁で兵法書を授けられた
といいます。沈金(ちんきん)は漆面を線刻(せんこく)し、溝に生漆(きうるし)を摺り
込んで金箔を定着させる技法です。
以上の作品をはじめ、天馬を表した作品約160件を展示中です。
どうぞお見逃しなく!
◆公開講座
5月 3日(土)「飛走する天馬像」末崎真澄(馬の博物館学芸部長)
5月24日(土)「仏教と天馬」内藤 栄(当館工芸考古室長)
時間 13時30分から ※13時より講堂入口にて整理券を配布します。
場所 奈良国立博物館 講堂
定員 200名(先着順)
聴講無料
◆サンデートーク
5月18日(日)「中国の天馬・翼馬」永井洋之(当館研究員)
時間 14時から(開場 13時30分)
場所 奈良国立博物館 講堂
聴講無料
◆図録 1,500円
特別展「天馬 シルクロードを翔ける夢の馬」の図録を好評販売中です。
ユーラシア大陸の東西に伝播した天馬の姿を追う、世界で唯一のカタログです。
>>>以上、詳しくはこちらへ
http://www.narahaku.go.jp/exhib/2008toku/tenma/tenma-1.htm
◆特別展「天馬」関連企画
展覧開会期中には、財団法人全国競馬・畜産振興会主催の多彩な
イベントが催されます。あわせてお楽しみください。
◎ターフを翔ける天馬たち
~(天皇賞(春)・東京優駿(日本ダービー)~
会期:4月5日(土)~6月1日(日)
会場:奈良国立博物館 地下回廊(入場無料ゾーン)
◎JRA競走馬総合研究所 特別連続講座
JRA競走馬総合研究所の所員を講師に迎え、馬学講座を開催します。
5月 4日(日)「人類史の裏に馬あり―馬の伝染病あれこれ―」
杉浦健夫(管理調整室)
5月31日(土)「馬の進化と日本在来馬のルーツ」
石田信繁(上席研究役)
時間 13時30分から ※13時より講堂入口にて整理券を配布します。
場所 奈良国立博物館 講堂
定員 200名(先着順)
◎馬とのふれあいイベント
ポニーの試乗会や演技等が開催されます。
開催日 5月5日(月・祝)、6日(火・休)
5月11日(日)、25日(日)、6月1日(日)
場 所 奈良国立博物館 屋外(本館周辺)
※上記の3イベントについてのお問い合わせは、財団法人全国競馬・
畜産振興会までお願いいたします。
>>>以上、詳しくはこちらへ
http://www.jra.go.jp/news/200803/030602.html
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