Japanese | English

快慶

 快慶(かいけい)は、わが国を代表する仏師のひとりであり、鎌倉彫刻様式の完成に重要な役割を果たした人物として運慶(うんけい)と並び称されてきました。快慶には確証ある遺品が際立って多く、鎌倉時代初頭の造像界の動向を具体的に知るうえで不可欠な存在である一方、出自や工房など、その人物像には不明な点が少なくありません。
 建久3年(1192)に無位でありながら後白河院(ごしらかわいん)追善の造像に抜擢されるなど、康慶(こうけい)の弟子のなかでも特殊な立場にあったようですが、こののち運慶と肩を並べて活躍の舞台を得る画期となったのは、後白河院主導のもと重源(ちょうげん)により進められた東大寺再興造像でした。
 「巧匠アン(梵字)阿弥陀仏」と称したことからもわかるように、快慶は単に仏師として重源にしたがっていたのではなく、熱心な阿弥陀信仰者として造仏に臨んでいたことも見逃せません。彼が生涯をかけて追求した実在感と格調の高さを兼ねそなえた阿弥陀如来立像の姿は、後世「安阿弥様(あんなみよう)」と称され、来迎(らいごう)形阿弥陀の一典型としてながく受け継がれてゆきます。平安時代には、仏師定朝(じょうちょう)が「仏の本様(ほんよう)」と謳(うた)われる理想的な仏の姿をつくり出しましたが、快慶はこの定朝にも匹敵する役割を果たしたといえるでしょう。  
 本展は、快慶の代表的な作品を一堂に集めて、わが国の仏教美術史上に残した偉大な足跡をたどる試みです。さらに、快慶作品の成立と密接に関わる絵画や、高僧たちとの交渉を伝える史料をあわせて展示することにより、いまだ多くの謎に包まれた快慶の実像に迫ります。本展を通じて、多彩な快慶作品の魅力を堪能していただくとともに、現代を生きる我々の共感をいまもなお呼び起こし、仏の規範とされつづける快慶芸術の本質について考える機会となれば幸いです。

釈迦如来立像(アメリカ・キンベル美術館)

釈迦如来立像
(アメリカ・キンベル美術館)
Kimbell Art Museum,
Fort Worth, Texas

会 期 平成29年4月8日(土)~6月4日(日)
会 場 奈良国立博物館 東新館・西新館
休館日 毎週月曜日 ※ただし5月1日(月)は開館
開館時間 午前9時30分~午後5時
※毎週金・土曜日は午後7時まで
※入館は閉館の30分前まで
観覧料金
  一般 高校・大学生 小・中学生
当日 1,500円 1,000円 500円
前売・団体 1,300円 800円 300円
  ペアチケット
前売 2,400円

※前売券とペアチケットの販売は、2月8日(水)から4月7日(金)までです。
前売券、ペアチケットの販売を開始いたしました!
※観覧券は、当館観覧券売場のほか、近鉄の主要駅、近畿日本ツーリスト、JR東海ツアーズ、JTB、日本旅行、ローソンチケット(Lコード51325)、セブン―イレブン、チケットぴあ(Pコード768-078)、イープラスなどで販売予定です。
※団体は20名以上です。
※ペアチケットは2名、または1名で2回ご利用可能。プレイガイドで、前売期間のみ販売します。
※障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料です。
※この料金で、名品展(なら仏像館・青銅器館)も観覧できます。
奈良国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を400円でお求めいただけます。観覧券売場にてキャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証をご提示ください。

出陳品 出陳品 88件(うち国宝7件、重要文化財50件)
◆出陳品一覧はこちらへ[PDF, 463KB]
公開講座 4月22日(土)「快慶を生んだ社会と宗教」
横内 裕人氏(京都府立大学准教授)
5月13日(土)「快慶の生涯と「如法」の仏像」
山口 隆介(当館学芸部研究員)
5月27日(土)「快慶作品に関する二、三の問題」
岩田 茂樹(当館学芸部上席研究員)
※詳しくはこちらへ
関連イベント 親と子のワークショップ「着て楽しむ! ほとけさまのファッション」
ほとけさまのファッションについて、親子で楽しく学ぶワークショップです。
◆日時:4月29日(土・祝)①午前10時30分~12時 ②午後1時30分~3時
◆会場:当館地下回廊
◆講師:岩井共二(当館学芸部情報サービス室長)
◆定員:各回10組(小学生とその保護者)
◆参加費:無料
◆応募方法:3月15日(水)より受付開始。本展公式サイトにある専用の申し込みフォームから応募してください。定員に達し次第、募集は締め切ります。
※詳しくはこちらへ
ワークショップ「截金技法の体験をしてみよう!」
快慶の仏像の多くは、表面が金箔の文様で美しく飾られています。彫刻家の指導のもと、木の小物に細く切った金箔を貼る截金技法の体験をしていただきます。 
◆日時:5月3日(水・祝) ①午前11時~12時 ②午後1時30分~2時30分
◆会場:当館地下回廊
◆講師:吉水快聞氏(彫刻家)
◆定員:各回20人(小学校低学年までの児童については、保護者の付き添いが必要です。)
◆参加費:1,000円(材料代)
◆応募方法:3月15日(水)より受付開始。本展公式サイトにある専用の申し込みフォームから応募してください。定員に達し次第、募集は締め切ります。
◆問い合わせ:読売テレビ事業局 TEL:06-6947-2098
※詳しくはこちらへ
快慶展を100倍楽しめる 快慶仏講座
快慶が造った仏像の特徴や鑑賞ポイントについてわかりやすく解説する動画を本展公式サイトにアップします。その動画や快慶展の鑑賞によって得た知識を試せるミニ検定を、本展の会期中に2回実施します。当館内で検定の受付をし、問題用紙・解答用紙をお渡しします。解答用紙は後日、検定事務局へ郵送いただきます。採点の結果は後日、事務局から通知します。第1弾と第2弾とで異なる記念品もプレゼント!
◆申し込み受付期間/解答用紙提出締め切り:
〈第1弾〉4月11日(火)~23日(日)/5月2日(火)必着
〈第2弾〉5月9日(火)~21日(日)/6月4日(日)必着
※第1弾と第2弾で問題は異なります。
◆料金:700円(1回の検定につき。当館内の検定受付で徴収します。)
◆問い合わせ:読売テレビ事業局 TEL:06-6947-2098
※詳しくはこちらへ
仏像展巡りスタンプラリー
次の3会場を巡り、すべてのスタンプを集めた方に抽選でプレゼントをします。
●興福寺 国宝特別公開2017「阿修羅 ―天平乾漆群像展―」
(3月15日─6月18日、9月15日─11月19日)※スタンプラリーの実施は4月8日から
●奈良国立博物館 特別展「快慶」(4月8日─6月4日)
●東京国立博物館 興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」(9月26日─11月26日)
※詳しくはこちらへ
主 催 奈良国立博物館、読売新聞社、読売テレビ
後 援 文化庁、NHK奈良放送局、奈良テレビ放送
協 賛 岩谷産業、清水建設、大和ハウス工業、非破壊検査
協 力 天童木工、日本航空、日本香堂、仏教美術協会
チラシ 快慶チラシ(PDF,642KB) 快慶・運慶コラボチラシ(PDF,557KB)
快慶チラシ(PDF,3.2MB)

主な出陳品

※画像をクリックすると、より大きな画像が表示されます。

重要文化財 弥勒菩薩坐像

重要文化財 弥勒菩薩坐像
[みろくぼさつざぞう] ※4/25~6/4展示
京都・醍醐寺
木造 金泥塗・截金 像高111.0 cm
鎌倉時代 建久3年(1192) 快慶作

後白河院追善(ごしらかわいんついぜん)のために醍醐寺の座主勝賢(ざすしょうけん)が発願(ほつがん)した。快慶の名を「巧匠(こうしょう)アン(梵字)阿弥陀仏」と記す初例であり、金泥塗(きんでいぬり)仕上げの現存最初期の遺品でもある。洗練された造形感覚を示す、快慶初期にして随一の傑作。

弥勒菩薩立像
Photograph©2017 Museum of Fine Arts, Boston

弥勒菩薩立像
[みろくぼさつりゅうぞう]
アメリカ・ボストン美術館
木造 漆箔 像高106.6 cm
像内納入品
弥勒上生経(みろくじょうしょうきょう)及び宝篋印陀羅尼(ほうきょういんだらに)
紙本墨書 縦25.2 cm 長462.0 cm
鎌倉時代 文治5年(1189) 快慶作

像内納入品により、文治5年に快慶が造立した弥勒菩薩立像であることが判明する。今日知られる快慶作品のうち最も制作年代が早い。もと奈良・興福寺に伝来した。平安時代後期の作風も残るが、みずみずしい肉取りには作者の若さが溢(あふ)れ出るかのようである。

重要文化財 四天王立像のうち広目天 重要文化財 四天王立像のうち多聞天

重要文化財 四天王立像のうち広目天・多聞天
[してんのうりゅうぞう こうもくてん・たもんてん]
和歌山・金剛峯寺
木造 彩色・截金 像高[広目天]135.2 cm [多聞天]138.2 cm
鎌倉時代(12世紀) [広目天]快慶作

髪際高(はっさいこう)(髪ぎわまでの高さ)で約4尺の四天王像のうちの2軀。広目天像の左足枘(あしほぞ)外側に「巧匠快慶/アン(梵字)阿弥陀仏」(/は改行)の刻銘がある。鎌倉再建期の東大寺大仏殿内に安置された巨大な四天王像と同図像の作品で、そのひな型として造られた可能性がある。

重要文化財 阿弥陀如来立像

重要文化財 阿弥陀如来立像
[あみだにょらいりゅうぞう]
奈良・東大寺
木造 金泥塗・截金 像高98.7 cm
鎌倉時代 建仁3年(1203) 快慶作

金泥塗(きんでいぬり)に截金文様(きりかねもんよう)を表した髪際高(はっさいこう)3尺の立像。文献および足枘(あしほぞ)の刻銘と針書(はりがき)により、快慶を作者として建仁3年に完成した後、承元2年(1208)に截金を施したと見られる。頭部内に金属製の五輪塔が、像内右脚部に2巻の巻子(かんす)が納められている。

国宝 僧形八幡神坐像

国宝 僧形八幡神坐像
[そうぎょうはちまんしんざぞう]
奈良・東大寺
木造 彩色 像高85.7 cm
鎌倉時代 建仁元年(1201) 快慶作

かつて東大寺鎮守八幡宮(今の手向山(たむけやま)八幡宮)に奉祀(ほうし)されていた。像内に長文の墨書があり、建仁元年12月27日の開眼(かいげん)や、仏師快慶が造立したことが知られるほか、後鳥羽天皇や後白河院をはじめ、物故者を含む僧俗多数の結縁者(けちえんしゃ)や小仏師らの名が認められる。造像背景には東大寺大勧進重源(だいかんじんちょうげん)の存在が想定される。

重要文化財 阿弥陀如来坐像 菩薩坐像 その1 菩薩坐像 その2

重要文化財 阿弥陀如来坐像
[あみだにょらいざぞう]
広島・耕三寺
木造 漆箔 像高74.0 cm
鎌倉時代 建仁元年(1201) 快慶作

菩薩坐像
[ぼさつざぞう]
静岡・伊豆山浜生協会
木造 漆箔 像高[その1]25.4 cm [その2]26.0 cm
鎌倉時代 建仁元年(1201) 快慶作

かつて伊豆山(いずさん)(現在の静岡・伊豆山神社)に伝来した阿弥陀如来像。建仁元年に京都で造立され、5年後に下常行堂(しもじょうぎょうどう)本尊に迎えられた。快慶と伊豆山の接点として、源延(げんえん)ら天台僧の存在が想定される。菩薩坐像は、これに随侍した四菩薩中の2軀。

重要文化財 阿弥陀如来立像 阿弥陀如来立像像内納入品 

重要文化財 阿弥陀如来立像
[あみだにょらいりゅうぞう] ※阿弥陀如来立像の展示は4/11~6/4
京都・遣迎院
木造 金泥塗・截金 像高98.9 cm
像内納入品
願文(がんもん)  1紙 紙本墨書 縦31.2 cm 横15.4 cm
印仏(いんぶつ)・結縁交名(けちえんきょうみょう)  7綴 紙本墨摺・墨書
鎌倉時代 建久5年(1194)頃 快慶作

遣迎院(けんごういん)の本尊で、作風の異なる釈迦如来立像(未出陳)と一具をなす。無位時代特有の充実した作風を示し、着衣の優美な截金文様(きりかねもんよう)も目をひく。像内文書から物故者(ぶっこしゃ)をふくむ約1万2000名もの人びとが結縁(けちえん)したとわかる。

重要文化財 不動明王坐像

重要文化財 不動明王坐像
[ふどうみょうおうざぞう]
京都・醍醐寺
木造 彩色・截金 像高53.3 cm
鎌倉時代 建仁3年(1203) 快慶作

京都・教王護国寺(きょうおうごこくじ)(東寺(とうじ))講堂の五大明王(ごだいみょうおう)像中の不動明王像に端を発する(弘法)大師様(だいしよう)の像容。像内に建仁3年5月の年紀や「巧匠アン(梵字)ア(梵字)弥陀仏」の墨書があり、無位時代の快慶作と判明する。脚部の特徴ある衣文形式は、快慶工房における明王坐像の定型的な表現形式。

重要文化財 兜跋毘沙門天立像

重要文化財 兜跋毘沙門天立像
[とばつびしゃもんてんりゅうぞう]
京都・青蓮院
木造 彩色・漆箔 像高102.5 cm
鎌倉時代(13世紀)

京都・教王護国寺(きょうおうごこくじ)(東寺(とうじ))像を原像とする兜跋毘沙門天像(とばつびしゃもんてんぞう)の模像。鎌倉時代の遺品はめずらしい。東寺像で練物(ねりもの)を用いる耳飾や瓔珞(ようらく)が、本像では銅製鍍金(ときん)で表される。面部の充実した肉取りや入念な作風は快慶の特色を示す。

重要文化財 十一面観音菩薩立像

重要文化財 十一面観音菩薩立像
[じゅういちめんかんのんぼさつりゅうぞう]
三重・パラミタミュージアム
木造 漆箔 像高122.4 cm
鎌倉時代(13世紀) 長快作

快慶の弟子長快(ちょうかい)の作で、かつて興福寺(こうふくじ)内の禅定院(ぜんじょういん)にあった。快慶が建保7年(1219)に再興した長谷寺(はせでら)本尊像のための御衣木(みそぎ)の余材を用いて造ったと推定される。

釈迦如来立像
Kimbell Art Museum, Fort Worth, Texas

釈迦如来立像
[しゃかにょらいりゅうぞう]
アメリカ・キンベル美術館
木造 金泥塗・截金 像高81.8 cm
鎌倉時代(13世紀) 快慶作

表面の美しい金泥塗(きんでいぬり)や截金文様(きりかねもんよう)をよく残す保存状態の良い作品。足枘(あしほぞ)に「巧匠/法眼快慶」(/は改行)の墨書があり、快慶の比較的晩年に近い時期の作と見られる。光背は当初のもので、周縁部に春日四所明神(かすがししょみょうじん)の種子(しゅじ)を表すことから、春日大社ないし興福寺周辺に伝来したと推測される。

重要文化財 阿弥陀如来立像

重要文化財 阿弥陀如来立像
[あみだにょらいりゅうぞう]
奈良・西方寺
木造 金泥塗・截金 像高98.5 cm
鎌倉時代(12~13世紀) 快慶作

足枘(あしほぞ)に「巧匠(梵字アン)阿弥陀仏」の墨書があり、無位時代の快慶の作とわかる。明快な表情や衣文の表現、体軀(たいく)の肉取りなどに、若々しい感覚が充溢する。袈裟(けさ)を左肩から紐で吊り、末端を左腕に懸ける表現は、快慶の三尺(さんじゃく)如来立像では本像のみ。

重要文化財 阿弥陀如来立像

重要文化財 阿弥陀如来立像
[あみだにょらいりゅうぞう]
京都・極楽寺
木造 漆箔 像高79.5 cm
像内納入品
現在過去帳(げんざいかこちょう)  1枚 紙本墨書 縦26.8 cm 横44.7 cm
嘉禄三年法花三十講経名帳(かろくさんねんほっけさんじゅっこうきょうみょうちょう)  1巻 紙本墨書 縦30.5 cm 長293.2 cm
過去訪名帳(かこほうめいちょう)  1巻 紙本墨書 縦31.4 cm 長151.8 cm
阿弥陀如来印仏(あみだにょらいいんぶつ)  1枚 紙本墨摺 縦24.4~24.8 cm 横38.0~38.5 cm
鎌倉時代 嘉禄3年(1227)頃 行快作

快慶の没年にまつわる新情報をもたらし、一躍脚光を浴びた像。納入文書に「過去法眼快慶」の文言が見出され、嘉禄3年(1227)の時点ですでに没していたと判明した。作者は筆頭格の弟子行快(ぎょうかい)とみられる。