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忍性

 良観房忍性(りょうかんぼうにんしょう)は、建保5年(1217)に大和国城下郡屏風里(現在の奈良県磯城郡三宅町)で生まれました。早くに亡くした母の願いをうけて僧侶となり、西大寺の叡尊(えいそん)を師として、真言密教や戒律受持の教えを授かり、貧者や病人の救済にも身命を惜しまぬ努力をしました。特にハンセン病患者を毎日背負って町に通ったという話(『元亨釈書』等)には、慈悲深く意志の強い忍性の人柄がうかがえます。
 後半生は活動の拠点を鎌倉に移し、より大規模に戒律復興と社会事業を展開しました。人々の救済に努めた忍性に、後醍醐天皇は「菩薩」号を追贈されました。
 来年2017年は忍性の生誕800年にあたります。本展では忍性ゆかりの寺院に伝わる名宝や文化財を一堂に集め、奈良生まれの名僧の熱い人生とその偉業を偲びます。

良観房忍性坐像

忍性菩薩坐像
(神奈川・極楽寺)

アニメーション「~笑顔のお坊さん~忍性 すべては、母から始まった。」英語版・中国語版
講談「~忍性~ 講談師旭堂南陽が語る800年前の物語」(日本語・英語)の動画は、
こちらで見られます。http://www.ytv.co.jp/event/contents/event_1728566.html

                 
会 期 平成28年7月23日(土)~9月19日(月・祝)
会 場 奈良国立博物館 東新館・西新館
休館日 毎週月曜日 ※ただし8月8日・15日、9月19日は開館
開館時間 午前9時30分~午後6時
※毎週金曜日、8月6日(土)~15日(月)は午後7時まで
※入館は閉館の30分前まで
観覧料金
  一般 高校・大学生 小・中学生
当日 1,300円 900円 500円
前売・団体 1,100円 700円 300円

※前売券の販売は6月23日(木)から7月22日(金)までです。
※観覧券は、当館観覧券売場、近鉄主要駅、近畿日本ツーリスト、JR東海ツアーズ、日本旅行、ローソンチケット[Lコード:58274]、チケットぴあ[Pコード:767-651]、イ―プラス、CNプレイガイドなどで販売します。
※団体は20名以上です。
※障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料です。
※この料金で、名品展(なら仏像館・青銅器館)も観覧できます。
奈良国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を400円でお求めいただけます。観覧券売場にてキャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証をご提示ください。
※7月30日(土)・31日(日)は、子ども無料日です。中学生以下は無料で観覧できます。同伴で観覧される方は団体料金で観覧していただけます。

出陳品 出陳品 約118件(うち国宝17件、重要文化財35件)
◆出陳品一覧はこちらへ[PDF, 405KB]
展覧会図録  A4版 294ページ 2,500円
*西新館1階会場内および、地下ミュージアムショップにて販売しております 。
*図録の購入はこちらへ
 
図録
公開講座 8月6日(土)「日本仏教史上における忍性―鎌倉版マザー・テレサ」
 松尾 剛次氏(山形大学人文学部教授) → 終了いたしました
8月27日(土)「忍性と極楽寺の仏像」
 山口 隆介(当館学芸部研究員) → 終了いたしました
9月10日(土)「三つの忍性墓について」
  吉澤 悟(当館学芸部列品室長) → 終了いたしました
※詳しくはこちらへ
関連イベント 「描いて飾ろう文殊菩薩 ~忍性のきもちになって~」 → 終了いたしました
忍性が信仰した文殊菩薩の透き写し&表具フレーム作りのワークショップ。
◆日程:7月30日(土)
◆会場:当館地下回廊
◆参加費無料(事前申込み・先着順)
※詳しくはこちらへ
「きく!みる!ふれる!東征伝絵巻」 → 終了いたしました
◆日時:7月31日(日) 
1回目:午前10時~12時 2回目:午後1時30分~3時30分
◆会場:当館講堂
◆講師:石田 太一師(唐招提寺副執事長)
◆対象:小中学生とその保護者
◆定員:各回40組80名(事前申込み・先着順)
◆参加費無料
※詳しくはこちらへ
夏の3大アート展 スタンプラリー
神戸市立博物館「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞展」(6/18~8/28)、京都市美術館「ダリ展」(7/1~9/4)、当館「忍性展」の3会場を巡るスタンプラリーを開催します。
※詳しくはこちらへ
主 催 奈良国立博物館、読売テレビ、読売新聞社
特別協力極楽寺(鎌倉)、真言律宗総本山 西大寺、神奈川県立金沢文庫
後 援文化庁、奈良市教育委員会、奈良県三宅町、NHK奈良放送局、奈良テレビ放送
協 力凸版印刷、キヤノン、浄土寺(三宅町)、奈良芸術短期大学、奈良教育大学、日本香堂、仏教美術協会
チラシ 忍性チラシ(PDF,3MB)

主な出陳品

※画像をクリックすると、より大きな画像が表示されます。

忍性菩薩坐像

忍性菩薩坐像
[にんしょうぼさつざぞう]
神奈川・極楽寺
木造 漆塗 像高86.5㎝
頭部:鎌倉時代(13~14世紀) 体部:鎌倉~室町時代(13~15世紀)

極楽寺開山の良観房忍性(りょうかんぼうにんしょう)の像。表情には精彩があり、頭部内に梵字(ぼんじ)で各種真言(しんごん)を記す手法は、叡尊(えいそん)らによる一連の西大寺造像に通ずる。永仁4年(1296)に八十賀を祝して造立された寿像(じゅぞう)の可能性もある。

忍性菩薩像

忍性菩薩像
[にんしょうぼさつぞう] ※後期展示(8/23~9/19)
奈良・西大寺
絹本著色 縦121.2㎝、横49.6㎝
鎌倉~南北朝時代(14世紀)

払子(ほっす)を手に執(と)り、法被(はっぴ)を掛けた椅子に坐す忍性を描く。突き出た頭頂、赤い鼻先といったトレードマークが明瞭。受戒(じゅかい)などに用いる戒尺(かいしゃく)・柄香炉(えごうろ)・三衣包(さんえのつつみ)を机に置くことから、そのような法会に懸けられたと考えられる。

重要文化財 忍性書状

重要文化財 忍性書状 多田神社文書
[にんしょうしょじょう ただじんじゃもんじょ] ※後期展示(8/23~9/19)
兵庫・多田神社
紙本墨書
鎌倉時代 弘安2年(1279)

多田院(現在の多田神社)に伝来した忍性書状。図版は3月8日付の1通。建治元年(1275)に多田院別当となった忍性は、本堂修造費を補うため多田荘での新田開発を希望し、弘安2年3月に開発の許可が幕府から出ると、それをすぐに現地へ伝えた。書状の文面からは忍性の大変な悦びようが伝わってくる。

重要文化財 文殊菩薩騎獅像

重要文化財 文殊菩薩騎獅像
[もんじゅぼさつきしぞう] ※前期展示(7/23~8/21)
奈良・西大寺
絹本著色 縦154.2㎝、横97.4㎝
鎌倉時代(13世紀)

中央に獅子(しし)に乗る八髻(はちけい)の文殊菩薩(もんじゅぼさつ)、その足下に善財童子(ぜんざいどうじ)と八大童子(はちだいどうじ)、上方左右に胎蔵界(たいぞうかい)と金剛界(こんごうかい)の種子曼荼羅(しゅじまんだら)を配す。西大寺律宗において特に権威をもった文殊画像だったとみられ、叡尊(えいそん)門下の文観房弘真(もんかんぼうこうしん)による忠実な写しが現存する。

重要文化財 金剛仏子叡尊感身学正記

重要文化財 金剛仏子叡尊感身学正記
[こんごうぶっしえいそんかんじんがくしょうき]
※前期展示(7/23~8/21)
奈良・西大寺
紙本墨書 縦14.1㎝、横22.2㎝
南北朝時代 延文4年(1359)

叡尊(えいそん)の自叙伝(じじょでん)で、弟子の忍性(にんしょう)に関する記述も所々に確認される。延応元年(1239)9月、叡尊が忍性に十重戒(じゅうじゅうかい)を授けたことに関する箇所では、忍性の出自や、母の供養を強く願い、非人宿(ひにんやど)での文殊供養(もんじゅくよう)を遂げようとする若き日の忍性の姿が記されている。

重要文化財 文殊菩薩騎獅像

重要文化財 文殊菩薩騎獅像
[もんじゅぼさつきしぞう] ※7/26~8/11展示
奈良・般若寺
木造素地 像高45.0㎝
鎌倉時代 元亨4年(1324)

般若寺の本尊。本体は一木造(いちぼくづくり)で素地(きじ)仕上げとする檀像(だんぞう)風の像。銘文から、西大寺末寺の仏像制作を手がけた南都大仏師康俊(こうしゅん)らが制作したとわかる。後醍醐天皇の護持僧・文観(もんかん)の発願(ほつがん)による。

国宝 鉄宝塔

国宝 鉄宝塔
[てつほうとう]
奈良・西大寺
鉄製 総高172.7㎝
鎌倉時代 弘安7年(1284)

主要部を鉄製とした宝塔。忍性(にんしょう)の師で西大寺中興の祖である叡尊(えいそん)が願主となり、弘安7年(1284)に造立されたことが心柱に刻まれた銘文から知られる。内部には叡尊が生涯にわたり収集した約5400粒の舎利が安置された。

般若寺結界石

般若寺結界石
[はんにゃじけっかいせき]
茨城・般若寺
石製 高94㎝、幅56.5㎝、厚16㎝
鎌倉時代 建長5年(1253)

結界石とは寺院や聖域の境界を示す石碑の一種。茨城県土浦市の般若寺(はんにゃじ)に建てられていたもので、表に「大界外相(たいかいげそう)」、裏に「建長五年癸丑七月二十九日」を刻む。「大界外相」とは、僧侶が集まり布薩(ふさつ)(四分律や梵網経を読み、自らの行動を反省する儀礼)を行う空間「大界」の外周、境界を意味する。般若寺は、三村山極楽寺(つくば市)と共に忍性が建立ないし経営に関わったとみられる律宗寺院。忍性が常陸に入った建長四年からまもなく建てられたもの。

重要文化財 東征伝絵巻

重要文化財 東征伝絵巻
[とうせいでんえまき] ※前期・後期で巻き替え
奈良・唐招提寺
紙本著色
第1巻 縦38.1㎝、長1542.2㎝  第2巻 縦38.1㎝、長1920.4㎝
第3巻 縦38.1㎝、長1503.6㎝  第4巻 縦38.1㎝、長1647.2㎝
第5巻 縦38.1㎝、長1615.8㎝
鎌倉時代 永仁6年(1298)

わが国に戒律を伝えるために来朝した唐僧・鑑真和上(がんじんわじょう)(688~763)の生涯を全5巻に描く高僧伝絵巻(こうそうでんえまき)。見返(みかえし)に記される墨書銘および奥書によって、永仁6年(1298)に鎌倉極楽寺の忍性が唐招提寺に施入したもので、絵は全巻を六郎兵衛蓮行(れんぎょう)が描き、詞書はいずれも忍性と交際のある関東在住の人々の筆と知られる。

重要文化財 釈迦如来立像

重要文化財 釈迦如来立像
[しゃかにょらいりゅうぞう]
神奈川・極楽寺
木造素地 像高157.8㎝
鎌倉時代(13世紀)

極楽寺の本尊像。台座に永仁5年(1297)の年紀が記されるが後銘で、本像に随侍する十大弟子像同様、忍性が極楽寺に入寺した文永4年(1267)から同5年にかけての造像の可能性がある。

重要文化財 十大弟子立像(目犍連) 重要文化財 十大弟子立像(阿難) 重要文化財 十大弟子立像(舎利弗)

重要文化財 十大弟子立像
[じゅうだいでしりゅうぞう]
神奈川・極楽寺
木造彩色
舎利弗 96.9㎝  目犍連 86.0㎝  迦葉 87.6㎝  
阿那律 98.0㎝  須菩提 97.2㎝  富楼那 96.2㎝
迦旃延 99.7㎝  優婆離 86.0㎝  羅睺羅 85.9㎝
阿難 87.4㎝
鎌倉時代 文永5年(1268)

極楽寺本尊・釈迦如来立像(10)に随侍する。10軀のうち2軀の像内に文永5年(1268)の年紀が墨書され、造像年がわかる。個々の像の尊名は多くは確定できない。写実性に富んだ表現が見どころ。

重要文化財 忍性骨蔵器 額安寺五輪塔納置品

重要文化財 忍性骨蔵器 額安寺五輪塔納置品
[にんしょうこつぞうき]
文化庁
銅製 鋳造 高29.7㎝、胴径15.3cm
鎌倉時代 嘉元元年(1303)

忍性の遺骨を納めた水瓶形(すいびょうがた)の骨蔵器。表面には24行全347字の銘文を刻む。忍性の遺骨は本人の遺言に従って三分され、奈良の額安寺、同竹林寺、鎌倉の極楽寺に埋葬された。本品は額安寺に納められたもので、境内北の奥の院に建つ高さ2m90㎝の五輪塔の地下から見つかった。竹林寺の骨蔵器とほぼ同形で、銘文も一致する(一文字分少ない)。忍性本人に関わる直接遺品。本品の近くに追納された弟子や結縁者の分骨容器(円筒形、五輪塔形などの銅製容器)も今回はすべて展示する。

重要文化財 忍性骨蔵器 竹林寺五輪塔納置品

重要文化財 忍性骨蔵器 竹林寺五輪塔納置品
[にんしょうこつぞうき]
奈良・竹林寺
銅製 鍍金 高29.7㎝
鎌倉時代 嘉元元年(1303)

忍性の遺骨を納めた3つの容器の中の1つ。民衆教化、救済事業の大先達である行基を忍性は敬愛していたようで、分骨先にあえて行基の墓所がある竹林寺を選んでいる。骨蔵器が水瓶形であるのは行基の舎利瓶が銀製の水瓶であったことに倣ったものと思われる。さらに行基の舎利瓶は八角形の石櫃に納められていたというが、竹林寺の忍性墓だけは巨大な八角形の石櫃を設けて骨蔵器を格納している(この石櫃も展示)。

重要文化財 忍性骨蔵器 極楽寺五輪塔納置品

重要文化財 忍性骨蔵器 極楽寺五輪塔納置品
[にんしょうこつぞうき]
神奈川・極楽寺
銅製 鍍金 高26.2㎝
鎌倉時代 嘉元元年(1303)

鎌倉・極楽寺の西方高台に位置する忍性五輪塔の地輪内に格納されていた骨蔵器。額安寺、竹林寺と並んで三つの骨蔵器の一つであるが、本品だけは水瓶形というよりも華瓶にちかい形状をしており、全面に鍍金が施されている。銘文は奈良の二器とほぼ同内容であるが、末尾の文言に若干の違いがある他、奈良の二器が嘉元元年八月とするのに対して本品は十一月と刻まれ、三か月の差がある。