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白鳳

 白鳳は7世紀の半ばから710年に平城京に遷都するまでの間の文化や時代を指す言葉として、美術史学を中心に用いられてきました。この時代、天皇を中心とした国作りが本格化し、造寺造仏活動が飛躍的に展開し藤原京には大官大寺や薬師寺、飛鳥の地には山田寺や川原寺など壮麗な伽藍(がらん)が軒を連ねました。新羅をはじめ朝鮮半島の国々との交流は毎年使節が往来するなど盛んであり、大陸の先進的な文化がもたらされました。
 白鳳美術の魅力は金銅仏に代表される白鳳仏にあると言って良いでしょう。白鳳仏は若々しい感覚にあふれ、中には童子のような可憐な仏像も見ることができます。神秘性や厳しさを感じる飛鳥彫刻や、成熟した天平彫刻とはまた違う魅力です。一方、考古遺物に眼を向ければ、白鳳期の瓦の文様はわが国の瓦当(がとう)文様の頂点と呼ぶにふさわしく、寺院址からは堂宇(どうう)の壁面を飾っていたと思われる美しい塼仏(せんぶつ)が出土しています。白鳳文化が高度に完成された様式を築き上げていたことがわかります。
 奈良国立博物館は平成27年に開館120年を迎えます。これを記念し、仏教美術の専門館として長年にわたり構想を温めてきた白鳳美術を取り上げ、その魅力を追求します。

国宝 聖観音菩薩立像

国宝 聖観世音菩薩立像
(奈良・薬師寺)

    
会 期 平成27年7月18日(土)~9月23日(水・祝)
会 場 奈良国立博物館 東新館・西新館
休館日 毎週月曜日と7月21日(火)
※ただし7月20日(月・祝)、8月10日(月)、9月21日(月・祝)は開館
開館時間 午前9時30分~午後6時
※入館は閉館の30分前まで
※毎週金曜日と8月5日(水)~15日(土)は午後7時まで開館
観覧料金
  一般 高校・大学生 小・中学生
当日 1,500円 1,000円 500円
前売 1,300円 800円 300円
団体・サマーレイト 1,200円 700円 300円

*団体は20名以上です。
*前売券の販売は、6月1日(月)から7月17日(金)までです。
*観覧券は、奈良国立博物館観覧券売場、近鉄の主要駅、近畿日本ツーリスト、JR東海ツアーズ、JTB、日本旅行、ローソンチケット[Lコード:58263]、チケットぴあ[Pコード:766-832]、セブン―イレブン、イ―プラスなど主要プレイガイド、コンビニエンスストアで販売します。
*サマーレイト券は、毎週金曜日と8月5日(水)~15日(土)の午後5時から入場できるチケットです。(奈良国立博物館観覧券売場のみで、午後5時から販売します。)
*障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料です。
奈良国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を400円でお求めいただけます。観覧券売場にてキャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証をご提示ください。
「ミュージアムぐるっとパス・関西2015」で、当日券を一般は1,400円でお求めいただけます。観覧券売場にてお申し出ください。
*中国古代青銅器[坂本コレクション](青銅器館)、仏像写真展「大和の仏たち ー奈良博写真技師の眼ー」、開館120年記念「写真でたどる 奈良国立博物館のあゆみ」(地下回廊)は無料でご覧になれます。

出陳品 出陳品 約150件(うち国宝約15件、重要文化財約70件)
◆出陳品一覧はこちらへ[PDF,290KB]
展覧会図録  A4版 300ページ 2,300円
*西新館1階会場内および、地下ミュージアムショップにて販売しております 。
*図録の購入はこちらへ
 
   図録
公開講座 8月8日(土)「天武・持統天皇の理想の都―藤原宮と新益京―」
 木下 正史氏(東京学芸大学名誉教授) → 終了いたしました
8月22日(土)「東アジアのなかの白鳳仏」
 藤岡 穣氏(大阪大学大学院教授) → 終了いたしました
9月5日(土)「白鳳寺院を飾った工芸」
  内藤 栄(当館学芸部長) → 終了いたしました
9月19日(土)「白鳳の童形仏とその周辺」
  岩田 茂樹(当館上席研究員)
※詳しくはこちらへ
関連イベント 開館120年記念「写真でたどる 奈良国立博物館のあゆみ」
当館地下回廊にて、開館から120年の歴史をふりかえるパネル展示を行います。
 会期: 7月18日(土)~平成28年3月下旬
 ※詳しくはこちらへ

白鳳展開催記念スタンプラリー
展覧会会期中、白鳳展と、白鳳時代にゆかりの深い興福寺、薬師寺、法隆寺を巡るスタンプラリーを実施します。
白鳳展と2寺院のスタンプを集めればオリジナルの記念品(特製ミニクリアファイル)をプレゼントいたします。

スタンプラリー台紙 [PDF, 906KB]
台紙は、当館会場と上記3寺院で配布しております。
※台紙を出力してご使用いただけますが、A4サイズでの出力に限ります。

7月中の来場者に白鳳展オリジナルポストカードプレゼント
 期間:7月18日(土)~7月31日(金) 各日先着50名様限定
 ※詳しくはこちらへ → 終了いたしました
白鳳フォーラム → 終了いたしました
 日程:7月25日(土)
 会場:東大寺総合文化センター 金鐘ホール
仏像あたまを作っちゃおう!かぶっちゃおう!
 1枚の紙で作るカブリモノ制作・変身ワークショップ
→ 終了いたしました
 日時:8月8日(土)、8月9日(日)
 いずれの日も1回目 13:30~14:30、2回目 15:30~16:30 
 会場:当館 地下回廊
 ※詳しくはこちらへ
薬師寺僧侶による法要・講話
 法要と講話  日時:7月30日(木)、8月27日(木)、9月10日(木)
        いずれも法要は14:00から、講話は14:30~15:30
 講話のみ     日時:7月24日(金)、9月4日(金)、9月17日(木)
        いずれも14:30~15:30
 会場:法要は当館展示室内、講話は当館講堂
     (講話は定員194名:先着順)
 ※いずれも、当日特別展「白鳳」をご観覧いただいた方にご参加いただけます。
興福寺僧侶による法要 → 終了いたしました
 日時:8月18日(火) 10:00~10:30
 会場:当館展示室内      
親子鑑賞会 → 終了いたしました
 日時:8月25日(火) 13:30~14:15
 会場:当館 講堂
 講師:岩井 共二(奈良国立博物館学芸部情報サービス室長)
 ※詳しくはこちらへ
主催 奈良国立博物館、読売新聞社、NHK奈良放送局、NHKプラネット近畿
後援 文化庁、奈良県、奈良テレビ放送
協賛 関西大学、きんでん、清水建設、大和ハウス工業、ダイワボウ情報システム、天理時報社、非破壊検査
協力 日本香堂、仏教美術協会
チラシ

チラシ(PDF,3MB)

まんがチラシ(PDF,2.4MB)

主な出陳品

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重要文化財 弥勒菩薩半跏像

重要文化財 弥勒菩薩半跏像
[みろくぼさつはんかぞう]
大阪・野中寺
銅造 鍍金 像高18.5cm
白鳳時代 天智天皇5年(666)

台座に「弥勒(みろく)」の尊名と「丙寅(へいいん)」の暦年を刻む。6世紀から7世紀に東アジアで数多く造像された半跏思惟像(はんかしいぞう)の中で、唯一弥勒と銘記された、極めて重要な作品。 裙(くん)に連珠円文(れんじゅえんもん)を表し、冠繒(かんぞう)(宝冠から下がった紐状の飾り)・腰佩(ようはい)(腰脇につけた装身具)を別製とするなど先駆的な要素が強い。(展示期間 7月19日~9月16日)

三尊塼仏(川原寺裏山遺跡出土)

三尊塼仏(川原寺裏山遺跡出土)
[さんぞんせんぶつ]
奈良・明日香村
土製  高23.1cm 幅18.5cm 奥 3.6cm
白鳳時代(7世紀)

偏袒(へんたん)右肩に禅定印を示す倚像(いぞう)の中尊と合掌する脇侍(きょうじ)を表した塼。 上方に飛翔する天人が表される。尊像は肩幅が広く、腰が細くて衣を 通して体のラインを露(あら)わにする。この塼仏に似たものが唐の塼仏にもあり、遣唐使などによって日本にもたらされた様式を反映していると考えられる。

国宝 仏頭 ©飛鳥園

国宝 仏頭
奈良・興福寺
銅造 鍍金 高98.0cm
白鳳時代 天武天皇14年(685)

蘇我倉山田石川麻呂の追善供養のために造像され、天武天皇14年(685)に開眼された。若々しく威厳のある顔立ちは、白鳳時代の代表作と呼ぶにふさわしい。制作年代が明確な大型金銅仏(こんどうぶつ)として極めて重要。中国・隋の仏像様式に源流がある。(展示期間 8月18日~27日) ©飛鳥園

重要文化財 阿弥陀三尊像

重要文化財 阿弥陀三尊像
[あみださんぞんぞう]
東京国立博物館(法隆寺献納宝物 N-144)
銅造 鍍金
像高 中尊28.4cm 左脇侍21.1cm 右脇侍21.3cm
白鳳時代(7世紀)

中尊台座に「山田殿像」の刻銘があることで著名な像。左右脇侍(きょうじ)の化仏(けぶつ)と水瓶(すいびょう)の標幟(ひょうじ)から、明徴ある阿弥陀三尊像の最古例とされる。蘇我倉山田石川麻呂(そがのくらのやまだのいしかわのまろ)ないし彼が創建した山田寺(やまだでら)と関連する像か。

重要文化財 釈迦如来倚像

重要文化財 釈迦如来倚像
[しゃかにょらいいぞう]
東京・深大寺
銅造 鍍金 像高60.6cm
白鳳時代(7世紀)

関東伝来の古代金銅仏中の白眉(はくび)と称すべき像。明るくほがらかな表情や、着衣を通した体軀(たいく)のみずみずしい肉付けに、洗練された造形感覚が発揮される。両足を垂下(すいか)する坐法(ざほう)も白鳳時代に流行したもの。

国宝 月光菩薩立像 ©飛鳥園

国宝 月光菩薩立像
[がっこうぼさつりゅうぞう]
奈良・薬師寺
銅造 鍍金 像高315.3cm
白鳳時代(7~8世紀)

薬師寺金堂本尊の薬師三尊像の右脇侍(きょうじ)。腰をひねって立つバランスのとれた姿勢と若々しい張りのある体つきなど、日本彫刻史上の傑作として名高い。制作年代については白鳳説・天平説で意見が分かれているが、本展では、白鳳彫刻の流れの中に位置づけて紹介する。 ©飛鳥園

国宝 聖観世音菩薩立像

国宝 聖観世音菩薩立像
[しょうかんぜおんぼさつりゅうぞう]
奈良・薬師寺
銅造 鍍金 像高188.9cm
白鳳時代(7~8世紀)

薬師寺東院堂(とういんどう)の本尊。青年を思わせるみずみずしい体型が魅力的。作風は8世紀初頭の唐代造像と共通するところがあり、遣唐使が持ち帰った新しい図像に基づく造像かと思われる。白鳳様式の掉尾(とうび)を飾る名作。

国宝 観音菩薩立像(夢違観音)

国宝 観音菩薩立像(夢違観音)
[かんのんぼさつりゅうぞう]([ゆめちがいかんのん])
奈良・法隆寺
銅造 鍍金 像高86.9cm
白鳳時代(7~8世紀)

法隆寺東院絵殿(とういんえでん)に伝来。悪夢を善夢に変えてくれるという信仰から、夢違観音(ゆめちがいかんのん)の愛称がある。成熟した天平様式に近い要素も認められ、白鳳様式の掉尾(とうび)を飾る作品といえる。清冽(せいれつ)な少年の相が魅力的。

重要文化財 文殊菩薩立像(六観音のうち)

重要文化財 文殊菩薩立像(六観音のうち)
[もんじゅぼさつりゅうぞう]
奈良・法隆寺
木造 漆箔 像高83.9cm
白鳳時代(7世紀)

六観音と通称される、よく似た作風を示す6軀の菩薩立像のうちの1軀。クスノキ材を用いた一木造(いちぼくづくり)の像で、頭髪の一部や三面頭飾(さんめんとうしょく)などは乾漆(かんしつ)製である。白鳳期に流行した童形仏(どうぎょうふつ)の代表的作例。

重要文化財 伝虚空蔵菩薩立像

重要文化財 伝虚空蔵菩薩立像
[でんこくうぞうぼさつりゅうぞう]
奈良・法輪寺
木造 像高175.4cm
白鳳時代(7世紀)

台座蓮肉部(れんにくぶ)とその下の角枘(かくほぞ)までクスノキの一材から彫成。像容は法隆寺百済観音像(くだらかんのんぞう)に共通し、本像も観音像とみるべきか。天衣(てんね)の自由な表現に、飛鳥彫刻の厳格な左右対称性からの進展がうかがえる。(展示期間 7月18日~9月13日)

国宝 阿弥陀三尊像(伝橘夫人念持仏)

国宝 阿弥陀三尊像(伝橘夫人念持仏)
[あみださんぞんぞう]([でんたちばなぶにんねんじぶつ])
奈良・法隆寺
銅造 鍍金 像高中尊33.3cm 左右脇侍27.0cm
白鳳時代(7世紀)

愛らしい姿を示す少年相の三尊像で、光明皇后や橘諸兄(たちばなのもろえ)の母、県犬養橘三千代(あがたいぬかいのたちばなのみちよ)の念持仏(ねんじぶつ)であったと伝える。銅厚はきわめて薄く、かつ破綻(はたん)のない仕上がりで、当時の金工・彫塑(ちょうそ)技術の粋を尽くした名品。

重要文化財 持国天立像

重要文化財 持国天立像
[じこくてんりゅうぞう]
奈良・當麻寺
脱活乾漆造(だっかつかんしつづくり) 彩色 像高218.5cm
白鳳時代(7世紀)

當麻寺(たいまでら)金堂の四天王像のうちの1軀。奈良時代に流行した脱活乾漆造(だっかつかんしつづくり)の先駆的な構造をもつ。動きを抑えた像容や古式の服制に、白鳳時代の武装天部像の特徴がうかがえる。当初は別の堂の安置仏か。

重要文化財 押出阿弥陀五尊像

重要文化財 押出阿弥陀五尊像
[おしだしあみだごそんぞう]
東京国立博物館(法隆寺献納宝物 N-198)
銅板押出 縦39.0cm 横32.3cm
白鳳時代(7世紀)

二光寺廃寺(にこうじはいじ)等から出土した大型多尊塼仏(せんぶつ)の中尊・脇侍(きょうじ)の形がほぼ同一の押出仏。観音と勢至を脇侍とする阿弥陀三尊と老若の僧の五尊があらわされる。阿弥陀と両脇侍菩薩の印相は、法隆寺金堂壁画第6号壁と同じである。

国宝 龍首水瓶

国宝 龍首水瓶
[りゅうしゅすいびょう]
東京国立博物館(法隆寺献納宝物 N-243)
鋳銅製 金鍍金 銀鍍金 胴径18.9cm 全高49.9cm
白鳳時代(7世紀)

龍頭をかたどった蓋(ふた)を有する水瓶で、水を入れて仏前に置かれたもの。胴部に4頭の有翼馬を線刻で表している。馬は鍍金(ときん)されているが、その周囲は銀を鍍金しており、かつては金銀の対比が美しかったと思われる。下ぶくれの胴部と長い頸(くび)、鼓型の脚はササン朝ペルシアで流行したもので、有翼馬の意匠もあわせ異国的な要素が色濃い。ただし、文様表現や金工技法に白鳳時代の特徴が見られ、わが国において製作されたと推定されている。