◆主な展示宝物
5. 南倉101 紫檀木画槽琵琶 1面
(したんもくがそうのびわ、琵琶)
全長98.7cm 最大幅41.7cm
宝庫に伝わるペルシア起源の四絃四柱(しげんしじ)の琵琶5面のうちの一つ。槽(そう)から磯(いそ)、鹿頸(ししくび)、転手(てんじゅ)にかけての主体部はシタン材、絃門(げんもん)と海老尾(えびお)はツゲ材で作られ、それぞれ全面にわたって木画(もくが)が施されている。槽の部分には象牙や錫(すず)、鹿角、檳榔樹(びんろうじゅ)、ツゲ、シタンなどを豪華に用いて、蓮華(れんげ)の団花文(だんかもん)を中心に花喰鳥(はなくいどり)や飛鳥(ひちょう)、山岳などが伸びやかに表され、幻想的な空間が広がっている。
胴腹板(ふくばん)中央の捍撥(かんばち、撥受け)には、鞣し革(なめしがわ)を貼って丹(たん)を地塗りし、鮮やかな彩色(さいしき)で狩猟宴楽図(しゅりょうえんがくず)が描かれている。捍撥という長細い画面に人物や山岳を交互に配することで奥行きのある山水(さんすい)景観が作り出されており、熟達した画技がうかがえる。人物、山水とも唐の様式を示すが、パルティアンショットをする人物のように西アジア起源の図様が含まれており、唐の国際的な一面が表れている。また宴席で琵琶を演奏する人物には、楽器の部分に同様の楽器を演奏する人物を表すという正倉院宝物にしばしばみられる表現が示されており興味深い。全体に仕上げにかけられた油が経年変化し黒ずんでみえるのが惜しまれるが、唐代絵画史の空隙(くうげき)を埋めるものとして貴重である。
異国情緒あふれる正倉院楽器の優品として、特に注目される宝物である。
紫檀木画槽琵琶(表面)

紫檀木画槽琵琶(裏面)

紫檀木画槽琵琶(捍撥)

