名品紹介 彫刻

  重要文化財
如意輪観音坐像
 

 

 

如意輪観音坐像

拡大図はこちら
 正面
 左斜

にょいりんかんのんざぞう

1躯
木造 彩色
像高94.9(cm)
平安時代(10世紀)

 

 ヒノキの一材から頭体を彫出した、六臂の如意輪観音像。宝冠は漆箔し、体部は彩色仕上げとなっていたものだろう。上半身をまっすぐに立て、思惟(しゆい)手の掌で頬を受ける姿は古様で、観心寺如意輪観音像を思わせるところがある。しかし、連眉(れんび)や眼差しの強い目(瞳に別材嵌入)からなる威厳のある面相、幅広の体躯の表現などは、観心寺像からは隔たり新たな如意輪観音像の展開があったことを予測させる。その点で見過ごせないのは、腹部から脚部を覆う幅広の条帛(じょうはく)は、山形・宝積院十一面観音像などの天台系の像に見られることで、本像も9世紀以来の天台内での図像収集に依って造像された可能性が高いものではなかろうか。
 伝来は今一つ明かではないが、かつて京都市下京区の廻向院にあり、丹後の海中から発見されたという伝承がある。そして同じ伝承を持つ像に、京都市上京区の善福寺如意輪観音像が存在し、特徴的な条帛等も共通するのは興味深い。制作期を考えるのに、弧が浅く先が強く曲がる胸の線が天慶9年(946)の京都・岩船寺阿弥陀如来坐像と近いことは参考となろう。

▲目次へ戻る

▲名品紹介トップへ

前の作品へ
次の作品へ