金剛杵は本来古代インドの武器で、密教では煩悩を打ち砕く意味で用いられる。杵形の把(つか)の両端に鈷を付け、鈷が一本のものを独鈷杵(とっこしょ)、三本を三鈷杵(さんこしょ)、五本を五鈷杵(ごこしょ)と呼ぶ。また、鈷のかわりに宝珠や塔を表した宝珠杵、塔杵もあり、これに独・三・五の三杵を加えて五種杵という。この独鈷杵は把に比して鈷部が大振りで、鬼目(きもく)が大きく、蓮把を三紐の約条で締める。蓮弁の反りが強く、鈷の匙面も深い。平安後期の添景を示す作例と考えられ、細部の作技も精緻で鍍金がよく残っている。
奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, p.289, no.54.
| 収蔵品番号 | 657-0 |
|---|---|
| 部門 | 工芸 |
| 区分 | 金工 |
| 部門番号 | 工123 |
| 図録 | 奈良国立博物館蔵品図版目録 工芸篇 仏教工芸 |
| 図版・文字掲載ページ | 85/118 |
| 文献 |
奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, 350p. 奈良国立博物館蔵品図版目録 工芸篇 仏教工芸. 奈良国立博物館, 1992, 121p. 密教工芸:神秘のかたち. 奈良国立博物館, 1992, 286p. 日本仏教美術の源流. 奈良国立博物館, 1978, 403p. |

